・ ページ17
side 忠義
抱き締めていた腕を解き、体を起こしてAを見下ろせば、
不安に揺れる瞳で俺を見上げて、そして視線を逸らした。
「Aは、俺と一緒に寝るの嫌なん？」
無理矢理言わせたいわけやないけど、往生際が悪過ぎる彼女に少し苛立ちを感じているのも事実。
けどそれ以上に、Aからもちゃんと言うて欲しいねん。
彼女の答えなんて分かってるけど、それでも逃げ道を断つように、ちょっと意地悪な聞き方をした。
だけど…
「ーーいや。」
少しの沈黙の後、Aは俺の目を真っ直ぐに見上げて、はっきりとそう答えた。
「っ、えっ、、」
想定外の答えに焦る俺を尻目に、Aはゆっくりと体を起こして俺と向かい合い、
それから少し怒ったような顔をして言った。
「ーーもう��抱き枕��はイヤ。」
俺がその言葉の意味を理解する前に、ふっと目を逸らした彼女は、今度はひどく自信無さげに声を落として、ポツリと続けた。
「でも、、��彼女��としてなら、いいよ…」
それは意地っ張りで素直やないAらしい言葉。
「ーーもちろん、そのつもりやで。」
ほんまはもう一声欲しいけど、今のところはとりあえずこれで勘弁しといたろうかな？
なんて余裕ぶりたいのは男のサガ。
だけど、再度腕の中に閉じ込めたAは、そんな男心なんて知らんと言わんばかりに、
「…好き」
と小さく俺の耳元に爆弾を落として、恥ずかしそうに、だけど満足げに微笑むから、
薄く貼り付けただけの余裕なんて一瞬で剥がれ落ちるに決まってるやん。
「ねぇ、お腹空いたから、もう一回買い物、、」
こっちの気も知らんとそんな事言い出す呑気な彼女の言葉は、唇ごと飲み込んで、
「ん、あとでカップ麺食おな…」
「っ、ちょっ、待っ、、ん、、」
反論も抵抗も飲み込んで。
「俺、今朝も５時起きよ？
スヤスヤ寝てんのかと思ったら、脚絡めるわ、体中弄ってくるわ…もう拷問やで。
アレ、ほんまはわざとやったん？」
「ん、、そんなっ、知らなっ、、」
毎度、早朝から欲を持て余して布団を抜け出し、悶々と寝顔を眺めていた俺の健気さ、分かってへんやろ。
俺の方こそ、もう��抱き枕��は勘弁やで？
「けど、もう我慢せんでええんやもんな？」
Aの耳元にそう囁けば、
こしょばそうに身を捩りながらも、
「、、いいよ…」
俺の頭を抱き締めてそんなん言うから、
微かに残しておいた理性は、遠慮なく手放した。
＊完＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1310人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめまめた(プロフ) - 渡璃凛さん» 渡璃凛さん☆はじめまして！コメントありがとうございます！文才なんて恐れ多いっ( ；´Д｀)誤字脱字だらけののろのろ更新ですが、引き続きよろしくお願いします(^^) (2020年9月9日 13時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
渡璃凛(プロフ) - 初めまして！更新めっちゃ嬉しいです！その文才本当にリスペクトしております、、！更新頑張ってください！！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: d9624783f4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆パワーワード笑確かに！笑 (2020年7月13日 12時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - こんにちはm(_ _)m「章ちゃんの相方ちゃん」…なんてパワーワード…呼ばれたい…(ストーリーの主旨と離れててすみません) (2020年7月5日 22時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - あーばるさん» あーばるさん☆コメントありがとうございます！他の作品も読んでいただいているとは、有り難し( ´∀｀)今のところ丸山さん出番少ないですが、ここから出番が増えますので、お楽しみいただけるようがんばります！ (2020年7月5日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年1月28日 14時
