・ ページ28
可愛げも何もないあたしの返しも、漂う空気も、どう考えても穏やかともまろやかとも言えない筈なのに
「今、目の前におるAに言わんと、誰に言うねん。
あの頃には戻られへんって、お前も言うてたやろ？
いくら俺かてタイムトリップはでけへんぞ？」
なんて、眉間にシワを寄せて真剣に突っ込んでくる。
(ーー出たよ、天然…)
ピントのずれた信五の返しに、呆れつつもつい懐かしさを覚えてしまうけれど、
「目の前のあたしはあなたの知っている五年前のあたしとは違うし、
もしかしたら妄想の中で美化してくれちゃってたのかもしれないけど、それもリアルなあたしとは絶対に違う。
目の前にいる今のあたしは、あなたの知らないあたしなの。」
この５年間で現実主義に磨きをかけたあたしを舐めないでいただきたい。
一人で強く逞しく生きていく決意をしたあたしにとって、非現実的なプロポーズなどドラマの中だけでお腹いっぱいだ。
バッサリと切り捨てたあたしに、信五は呆れたように小さく溜息をつくせに、
「相変わらず、口が達者やな。」
なんて言いながらも、懐かしむように微笑むから、
また心臓がギュッとする。
「ほれ、そんな顔するんやったら、ちょっとは黙って最後まで俺の話聞きや？」
少し困ったように眉を下げて、だけど優しい目をしてあたしを覗き込んでくる信五の目に映るあたしは、どんな顔をしているのだろう。
「ーー何で会いに来たかって？
会いに来たんと違うで？帰ってきただけや。
��行ってくる��って言うたやん。
お前も、��いってらっしゃい��って言うてくれたやろ？
そしたら、ここが俺の帰ってくる場所やん。」
穏やかな声で語り出した信五は、さも当たり前のようにそう言った。
「っ、待たなくていいって言ったくせにっ！」
だけど、その穏やかさが、あたしの心を逆撫でする。
あの時ぶつけられなかった本音が、零れ落ちる。
「宙ぶらりんのまま、いなくなったくせにっ、、
急に現れて、��帰ってくる場所��とか、そんなの勝手過ぎるでしょうっ！」
宙ぶらりんにしたのは、あたしも同じなのに、
こんな風に信五を責め立てたいわけじゃないのに。
滲む視界を誤魔化すように下を向いたあたしの頭に、
「ーーせやな…」
弱々しい声が落ちて来て、ますます視界が滲む。
「ーーあたしは…終わりにしたく、なかったのに…」
引き出しから溢れ出したのは、あの日の想いなのか、
それとも…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 787人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆新しいアルバムの特典とかにどうですか？！笑 お願いします、インフィニティさん（^人^） (1月25日 13時) (
レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - え…この乙女ゲーム、どこでダウンロードできますか？(笑) (1月23日 2時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆村上×安田、最強ですよね！でも、毎回書いていて、主人公は何でヤスくんにいかないんだ？！って思ってたりします笑 (1月20日 9時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - 渡璃凛さん» 渡璃凛さん☆完結までお待たせしました(;´д｀)いや〜あたしも村上さん書くのが一番楽しいんですよね、実は一番リアコ枠(≧∀≦) (1月20日 9時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 全人類抱ける男ヤスダと５年もナニもないなんて、主人公ちゃん、よっぽどひなちゃんが好きやったんやね！伝わりました( *´艸｀)村上×安田、最強ですね！ (1月20日 0時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめまめた
| 作成日時：2020年9月9日 13時
