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「俺は、いっこも平気やなかったで?
お前がおらな、全然あかんかったし、平気になる必要なんてないと思っとったし。
ーーお前んとこ帰るって、ずっとそう思ってたからな。」
ぐちゃぐちゃなあたしをあやすように、冷静に穏やかに言う信五だけど、
言っている事は滅茶苦茶じゃないか。
「それならっ、なんで連絡一つ寄越さないのよっ!」
一切音信不通だったこの5年間が、あの時に二人の関係が終わっていた何よりの証なのに。
「そんなんっ、お前、勝手に携帯番号変えとったやないか!」
喧嘩腰のあたしの言葉につられるように信五の口調も荒くなるけれど、
「別れたら携帯変えるのはセオリーでしょ!
そもそも、連絡手段は携帯だけじゃないでしょ?!
昭和男なんだから、一筆したためるくらいしなさいよっ!」
「そんなセオリー知らんわっ。
ーー手紙とか、俺のガラ違うし、受け取った時のお前の反応も分からへんやんか…」
急にトーンを落として弱気な顔をするから、こっちもつられて勢いを失ってしまう。
「…5年間、一度も、こっちに戻って来なかったの?」
本当はずっと気になっていた事。
章大に確かめる勇気もなくて、ずっと遮断していた、あたしの知らない5年間の信五のこと。
「ーーああ。
大阪の実家の方には、年一帰っとったけどな。」
そう言って自嘲気味に笑う信五は、ひどく苦しげに見えた、けれど、
「じゃあ章大ともずっと会ってなかったの?」
「いや、正月に大阪帰っとったから、ヤスも帰省しとって、ほぼ毎年会うてたな。」
けろっと答える信五に、また怒りが湧いてくる。
「っ、結局、章大には毎年会ってて、あたしには一回も会いに来なかったっていうのが、信五の答えでしょう?!」
怒鳴るように投げ付けたあたしの言葉に、てっきりまた勝手な理屈が返ってくるのだろうと身構えていたのに、
信五は急に黙り込んで、
それから、小さく、呟いた。
「、、怖かったんや…」
さっきまで真っ直ぐにあたしに向けられていた視線を足元に下げた信五は、
ポツリポツリと言葉を繋げた。
「最初は、こんな長なると思ってへんかったから、中途半端に連絡するより、ちゃんと帰国して会いに行こう思っててん。
けど、なんやかんやでどんどん時間が過ぎていって…
いつ戻って来られるか分からへんし、確かなことなんて何も約束でけへんし…
ーーその内に、どの面さげて会って、何を言うたらええんか、分からへんくなっとった…」
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さくらもち - 更新されていた当時からこっそり読ませて頂いていました。久しぶりに読んでみて、やっぱりまめまめたさんの作る世界が大好きで、ずっと1番です。もうここにはいらっしゃらないかもしれませんが、どうか届きますように。 (3月7日 2時) (レス) id: 5f7a39fac4 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆今回も最後までお付き合いありがとうございます!こんな贅沢な眠れない夜なら大歓迎ですよね(//∇//)続き、やっぱり気になります?今妄想中のお話が書けたら、続編頑張ってみようかなぁ… (2021年6月4日 19時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 飲みの帰りに大倉くんに焼きモチ焼かれて、安田くんに1日一人占め宣言されて、横山くんがゲロ甘…。こんな夜過ごしたらバチ当たるよね!バチ当たりたい!!続編、何卒m(__)m (2021年6月4日 2時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
まめまめた(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん☆新しいアルバムの特典とかにどうですか?!笑 お願いします、インフィニティさん(^人^) (2021年1月25日 13時) (レス) id: a925dd1186 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - え…この乙女ゲーム、どこでダウンロードできますか?(笑) (2021年1月23日 2時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめまめた | 作成日時:2020年9月9日 13時