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先程の部屋の前で降谷の足が止まる。それと同時に繋がっていた手が離れた。

「あの、何で千景が……」

大きな手の体温が冷めていくのを隠すように小声で尋ねると彼は意外とあっさり答えた。

「いや、本来の目的は原田千景ではない。父親の原田拓人のほうだ」
「え、お父さん……?」
「ああ、本来であればこの部屋は原田拓人と海外の密売組織が麻薬取引を行う予定だった場所だ」

降谷の言葉にギョッとする。

「静かに……」

降谷の言う通りにすると、部屋の中から会話のような声が聞こえる。

「ちっ……やはり既に来ていたか……」

先程言っていた海外の組織の事だろう。もし千景があのままこの部屋に居たとしたら、今中はどんな状況なんだ?
千景は父親の事を知っているのだろうか……。


「おいおいお嬢ちゃん、大声だそうとしても無駄だぜ?」

考えていると、少しぎこちない日本語が聞こえてきた。ドアに近づいてきたのだろう。思わずドキリと心臓が跳ねる。


「おい、こんな娘捕まえてどうするんだ?売るのか……?」
「バカ、こいつはあの男の一人娘だよ。人質にして金をふんだくってやろうぜ……。どうせ人には言えない事をしてるんだからな」


千景は今声も出せないのだろうか、今すぐ突入して助けてやりたいが、降谷に無断で行動するわけにはいかない。

「大丈夫だ、すぐに助けてやる」

シワが寄っていた私の眉間を降谷が右手の親指で押さえる。こんな時に何を、と言いたかったが降谷のおかげで焦る気持ちが少しおさまった気がする。


「風見か……相手は二人だ。スグにこちらに来てくれ」

先程の電話の人と同じ名前だ。彼の部下であろう風見と呼ばれた男は降谷との電話を終えるとスグにこちらに向かって走ってきた。見覚えのある顔に思わずあっ、と声を零す。


「行くぞ」
「はい」

二人は同時に両開きの扉を開けた。
部屋にいた黒服の男二人は突然のことに驚いており、その隙に二人は一気に距離を近づける。

風見は細身の男に足をかけ、尻餅をつかせる。一方降谷は大柄の男相手でも難なく腹にボディブローを決め、ゆるゆると倒れていく男の腕に手錠をかけた。

私は男達が捕まったのを確認すると奥で口元が塞がれている千景のもとへと走った。
彼女は驚いた表情をしていたが、自由になると私に倒れるように抱きついた。身体を小刻みに震わせながら腕の中で泣く千景を私はそっと抱きしめた。

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*柚木*(プロフ) - にゃーのまるさん» ありがとうございます。続きも頑張って書いていきますので応援よろしくお願いします! (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» お返事遅くなり申し訳ありません。嬉しいお言葉ありがとうございます (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - 主人公の恋がなかなか叶わないのって夢小説だと少ない方なのでそれプラスキャラ作りが固まっていて引き込まれるストーリーで良かったです。 (2018年4月2日 4時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 凄く、心撃ち抜かれました← これから好きになってくやつですね!!すごい好きです!続き、首長くして待ってます!! (2018年3月28日 23時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - ひゆめさん» いつもありがとうございます〜!頑張ります(^^) (2018年3月24日 2時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*柚木* | 作成日時:2018年3月8日 22時

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