20 ページ20
「安室透って名前はあの人が仕事で使ってる偽名で……」
「偽名…………」
「ほ、ほら!やっぱりあの女の人は仕事として恋人のフリをしているだけなんですよ!」
「良かったですね」と新一に言われるが心のつっかえは取れないままだった。
確かに彼が原田千景という女性に向ける愛情は偽物なのかもしれない。でも、私に向ける愛情だって偽物だ。原田とは本名を知ってるか知らないかだけであって結局は同じようなものではないか。
原田とどういう事情で付き合っているかはわからないが私よりも近くにいて、もしかしたら私が今降谷とできないようなことだって彼女のが出来るかもしれない。同じ偽物の愛だって、無関心よりは彼女の方がマシじゃないか。
「ごめん、帰るね」
「え!?ちょ、Aさん!」
新一を置いて早足でその場を去った。
こんな考えしかできない私も相当だと思った。協力してくれる新一にも失礼だ。
しかし今の私には頭を冷やす時間が必要だった。
__________________________________________
「降谷さん、どうでしたか」
「今のところは問題ない、が」
「何か気になることでも……」
「いや、また何かあれば報告する」
降谷は職務を終えて帰ろうと鞄を持ったところでピタリと手を止めた。今朝の事を忘れていたわけではない、がしかしこうしていざあの家に帰ろうかと思うとどうも身が引けるのだ。
誰が見ても降谷は人に好かれる容姿をしているし、彼がニコリと微笑めば大抵の女性達は彼の虜になってしまう。降谷自身人に好かれることは慣れているのだ。しかし、それはあくまでも偽りの自分の話だ。
降谷零という人間は国に忠誠を誓い、正義のためならば手段を選ばないような男だ。
彼女も周りの女性と同様に安室透という偽りの降谷零を好きになった。その好意自体に降谷は気づいていたが、本来の自分を見せた途端のあの表情を見て彼女の気持ちは離れたと降谷は思っていた。いや、普通ならそうなのだ。
彼女は確実にショックを受けていた、しかしなぜ彼女が未だに降谷への気持ちが変わらないのか、それは降谷には解らなかった。
609人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*柚木*(プロフ) - にゃーのまるさん» ありがとうございます。続きも頑張って書いていきますので応援よろしくお願いします! (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» お返事遅くなり申し訳ありません。嬉しいお言葉ありがとうございます (2018年4月2日 10時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - 主人公の恋がなかなか叶わないのって夢小説だと少ない方なのでそれプラスキャラ作りが固まっていて引き込まれるストーリーで良かったです。 (2018年4月2日 4時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 凄く、心撃ち抜かれました← これから好きになってくやつですね!!すごい好きです!続き、首長くして待ってます!! (2018年3月28日 23時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
*柚木*(プロフ) - ひゆめさん» いつもありがとうございます〜!頑張ります(^^) (2018年3月24日 2時) (レス) id: 4d1a807fc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:*柚木* | 作成日時:2018年3月8日 22時