第9話〈黒い彼〉 ページ10
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カタリと音を立てて一つずつ杖を手に取り顔を顰め棚に戻していく彼。天井に埋め込まれた、ステンドグラスから差し込む朝日に照らされた姿は、この世のものと思えない程整っていた
これ程の存在感があるのに、淡い存在は儚すぎて消えてしまうのかと思える。
衝動的に私は彼の袖を掴んでいた
｢！｣
『あ、』
それに気づき彼は目を大きく開かせた後、腕を振り少しの力で掴んでいた手は呆気なく離されてしまった。
『(な、なんで掴んだんだ)』
分からなかった、
けど、力強い瞳や魔力を持っているのに。彼よりも弱さを持っている人を見たことがなかったのかもしれない
荒々しく杖を戻し、去っていく彼を追いかければその長い脚でどんどん奥に進んでいく。私達以外の人の姿もなく、明かりも少ない場所で彼は立ち止まり私の方へ振り返った
｢…何の用だ｣
『…私A・｢知っている｣そう。貴方は？』
｢なぜ言う必要がある｣
暗闇でも分かる敵意が籠った紅い、紅い瞳。
恐怖は湧いてこなかった。彼を知りたかった、人に誰でもある追求心だったのかもしれない。
それだけ言うと彼は私の存在を無視するようにまた棚の杖に手をつけた。杖の細部まで食い入るように観察する彼は一つ杖だけに時間をかけている。
順番に杖を見てふと思った。
彼はいつからここにいるんだろう、私が見つけたのは入口から結構離れていたはず…。見た目と言葉遣いによらず、凄い人なのか
『手伝いましょうか？』
｢いらん｣
『でも、そんなに時間かけていたら一日では足りませんよ』
｢だからなんだ、お前は何がしたい｣
彼の傍に近寄るが、少し前のように彼が逃げ出すことは無かった。彼の瞳に映る自身の顔が悪そうに口角が上がっているのがわかる。余計に鋭くなる瞳だが一切逸らすことない彼にちょっと笑ってしまった
『魔力操作が得意なんです。貴方に見合う杖、すぐ見つかると思いますよ。』
｢それで、見返りもなしにする奴とは思えないな｣
あの表情をしたのが駄目だったのか、それとも頭が回るのか。バレちゃしょうがないと溜息をついた
スっと拒否する合間もなく彼の手に自身の手を絡ませれば、カタカタと更に奥の方の棚がなり私の杖とは真反対の黒く禍々しい杖が彼の手に収まる
『貴方の名前、教えてください』
｢……グルッペンだ｣
この全ての出会いが始まりだった
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かんぽ(プロフ) - タダノ・ミソニコミさん» コメントありがとうございます！中々進み具合が遅いので他の方と接触するのは、もう少し先やイベントの時に発展させていこうと思います！ (2020年7月14日 3時) (
レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
タダノ・ミソニコミ - もう、話の進み方がド性癖過ぎて語彙力溶けました、いつも無茶苦茶楽しみながらみさせていただいてます！毎回見るたんびに残念な頭で思考を巡らせながら読んでますw kn.utのシーンでどういうことだ？ってなりましたね…更新頑張ってください！後、大好きです！ (2020年7月14日 0時) (レス) id: 47c28898f7 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - トーストさん» コメントありがとうございます！どうやって皆さんを入れてみようかと悩みながらも、時間が経ってしまいすみません！今日中には続編へ行けたらいいと思っています…！ (2020年7月12日 1時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
トースト(プロフ) - 楽しく読まさせてもらっております。この作品めっちゃ好きです！作者様も好きです！(唐突な告白)体調に気をつけて更新頑張ってください！ (2020年7月11日 23時) (レス) id: 8d298a3565 (このIDを非表示/違反報告)
かんぽ(プロフ) - 仰げば尊死さん» 羨ましいです、元気100倍…。頑張っていきます！ (2020年6月23日 2時) (レス) id: 9e38ce5fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：H | 作成日時：2020年5月28日 1時
