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『……っこっち引けこっち』
「テメェカード押さえんなや、引けねぇよ！」
『これも心理戦だし…！！よしそっちにババいったね』
「クソが！！！」
何戦かトランプをし始め、最後の最後には強気でいたAと爆豪が必ず残る。幾度となく続ける2人に呆れた周囲は、もう各自で話し始めている
『ねえ焦凍くん次どっち引けば？』
「……言えねぇ」
爆豪の後ろで様子を見ている轟に上目遣いで分かりやすく聞くと、流石の轟も教えられないと言うが、顔は完璧に右方向を向いていて、もちろんただの数字のカード
「また半分野郎、手貸しやがって！！いい加減にしろや！」
怒る爆豪に勝ったAはワハハと笑いカードを捨てた時、パンッ！と襖が開けられた
そこに立っていたのは相澤
「消灯時間だ。いつまで騒いでやがる。明日朝早いんだからさっさと寝ろ」
いつものSHRのように鋭い目線を送る相澤だったが、今日は生徒たちの視線がおかしい
「相澤先生……？」
「あの子……ビビちゃん？」
「ええ可愛い！！」
それもそのはず、相澤の腕には真っ黒な毛並みの猫が抱かれており、すっかり懐いていた
『先生、ビビのお世話ありがとうございます』
「え、お前の猫？！」
「合宿に猫連れてくる神経知りてぇよ！」
朝学校に着いた時、普通より大きなケースを持ったAに声をかける相澤。その中には黒猫が1匹入っていた。事情を聞けば、一人暮らしのため数日放ったらかしに出来ないということだった。常識に外れているが、無類の猫好きの相澤は、彼が面倒を見るということでしょうがなく承諾したのだ
「やっぱこの女ねぇわ」
『何がよ、爆豪くん』
「常識だ、常識！」
「猫のことはどうだっていい。女子、部屋に戻れ」
「えー、先生少し触らせて！」
渋々立ち上がった女子達は先生を囲むと猫をひとなでして出ていく。Aも最後にビビをソッと触れる
金色の丸いつぶらな瞳が、ゆっくりと瞬きされ、Aも『おやすみ』と、微笑んだ
「あれが前言っていた猫の挨拶か」
「おう、ゆっくり瞬きしたな」
「爆豪の朝の挨拶と同じってことだよな」
「だっから、訳わかんねえこと言ってんじゃねーよ！！」
「お前らもすぐ電気消して寝ろよ。見回りもあるからな」
はーいと返事をした男子を一瞥し、襖を閉じる
耳郎と共に女子の最後尾を歩くAに声をかけた
「A。こいつ可愛いな」
相澤から出た意外な言葉に微笑んだ
「でしょ、可愛がってくださいね」
「フッ、早く寝ろ」
『おやすみなさい先生、ビビ』
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作者名：ぱるむ | 作成日時：2024年10月5日 5時
