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──────警視庁本部
「捕らえられていた脳無はいずれも、これまでと同様
人間的な反応がなく、新たな情報は得られそうにありません。保管されていたと言う倉庫は消し飛ばされており…」
神野区の事件後、警察達もヴィラン連合の残した脳無工場や彼らの失踪について報告会議が行われていた。
「バーからも連中の個人情報は、挙がってねえんだろ?」
「現在調査中です。しかし、バーの裏倉庫にはこんなものが発見されました。」
報告官が袋から取り出した物
長官は無言でウィッグを見つめた。
その眉間には深い皺が刻まれ、無意識に指先で机を叩いていた
「金髪のウィッグ、女性用の制服、カラーコンタクト、ジャケット…。雄英生徒からの情報によれば、金髪でブレザーの制服を着たヴィランが襲撃に居たと。」
「それは、つまり…」
「そうです。見るからに変装用の道具。何者かが姿をくらましヴィラン連合に加担している可能性が充分にあります。」
ウィッグやカラーコンタクト、どこの学校にも所属しないただコスプレなどで使用される制服これらは趣味嗜好で使われるより、身を隠すために使われていると警察は疑い調査を進めている
「ウィッグから採った髪、こちらでDNA鑑定早急に進めております。そしてこの制服に関しては、製造番号と照らし合わせ、大元の製造工場から販売ルートを調査中です。」
その事情を知った長官達は、小さくため息を漏らした
「ただ1つ確実に言えるのは、やつらは必ず捕らえやきゃならん。改革が必要だ」
重い空気が漂う会議室で、誰もが息を飲むように静まり返っていた。机の上に並べられた証拠品が、確かな脅威を物語っていた。
───────────
カーテンの隙間から差し込む柔らかな日差しが瞼を突き抜け、じわりと意識を引き戻した。
『眩し…ここは…』
まだ霞む目を開ければ、見知らぬ天井。そして管が繋がれた腕、薬品の独特な匂い
「目覚めたか」
当然聞こえたその声に扉の方へ視線を向ければ、A組担任相澤がビニール袋を手に入ってきていた。声に微かな疲労が混じっている。
『せん、せい…』
「喉カスカスじゃねえか、これ飲め」
ガサガサとビニール袋を探れば中からペットボトルを取りだし、キャップを空けAの口元へ持っていく
素直に受け取り、ゴクゴクと喉を鳴らし水を飲むと相澤はジッとAを見つめていた
『私何日眠ってましたか』
「1日も経っちゃいねえよ。昨夜、爆豪に連れられ病院に運ばれた。今は昼の2時だ」
そうですか。と小さく呟いたAは、自分の布団へ視線を落とした。やけに静かだった

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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年10月5日 5時