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「君の両親さ。ひょっとして水の個性のウォーターホース?」
「あ……マンダレイか!?」
「あ……いやえっと…。流れで聞いちゃって、覚えてる残念な事件だった」
昨夜マンダレイとピクシーボブから聞いたように光汰は、ヒーローに対して物凄い嫌悪感を抱いている
Aも崖に背を預け静かに話を聞いていた
「頭イカれてるよみんな、バカみたいにヒーローとか敵とか言っちゃって殺しあって…個性とかいっちゃって、ひけらかしてるからそうなるんだ、バーカ」
Aから聞いた昨日の話、光汰はヒーローだけじゃなく、超人社会そのものを憎んでいる。幼い頃にヒーローである両親を敵に殺されたとなればこうなるのも無理は無い
「何だよ、もう用ないんだったら出てけよ!!」
「いや、あの……え、友達…」
緑谷が何とか言葉を振り絞って話し出した
その内容は、緑谷の無個性の友達の話
彼は無個性なのにヒーローに憧れて、受け容れられずしばらく練習をしていたという。個性に対して色々な考えがある中で小さな光汰がそこまで否定してしまうと自分が辛くなる。そう緑谷は語った
「うるせえ、ズケズケと!」
光汰が黙りこくってしまった緑谷の体を勢いよく押し返した
その反動で手に持っていたカレー皿が地面に落ちる
「あっ…」
「お前が悪いんだぞ!!頼んでもねぇのにどうでもいい話しやがって!!さっさとどっか行け!」
光汰が再び、手を振り上げ緑谷の腕を叩こうとした時、掴まれる
「…なんだよテメェ!」
『拾いなさい』
「ハァ?なんで俺が」
『いいから、拾いなさい』
腕を掴まれたのは先程まで離れたところで話を聞くだけだったA。様子が明らかに冷たく、視線が光汰の体を震わせた
しばらく睨み合う2人
その威圧に負けたのか光汰は手を振り払えば、落ちた皿とスプーンを拾い、乱暴に緑谷に付け替えした
『食べたければ自分でとりに来ることだね、行こデク』
「あの……あっ、うん。」
いつもとは違うAの態度に戸惑う緑谷
カレー皿を落とされたこと事態はそこまで気にすることもないが、Aは黙ってはいなかった。前を歩くAの背を見つめる
「Aちゃん、どうして?」
『甘えてるだけよ、あの子がどうなろうと私には関係ないけれど、マンダレイ達が可哀想に思えてね』
「……うん」
光汰だけでは無い、両親の代わりとなるマンダレイ達も苦労をしているはずだ。その厳しさは光汰と同じ境遇であるAにしか分からないものなのだろうか
また緑谷の中で疑問が募る

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作者名:ぱるむ | 作成日時:2024年10月5日 5時