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第二十話 好きの違い ページ21

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「…Aは?」


「ん?」


「…Aは、私の事が好きかい?」



珍しく自信なさげに云う治くんの瞳は、不安げに揺れている。


そんな表情で聞かれたら、私の中に留めていた想いが溢れ出てきそうだ。


正直可愛すぎて私一人だったら発狂しているかもしれない。いや、しているだろう絶対に。




そんな思いを胸に仕舞い、私は柔らかく微笑むと治くんの頬に手を添えた。



「私も治くんが好きだよ、大好き」


「……でも、それは…」



治くんにしては歯切れが悪く、視線を俯かせる姿は何か思い詰めているようだ。




治くんが云いたい事は大体分かっている。


私の好きは恋愛感情ではないと云いたいんだろう。正直それは私にも分からない。




だっていくら転生したとはいえ、私にとって見れば此処は本の世界で治くんは架空の人物なんだから。


前世の私は確かに治くんの事が大好きだったけれど、二次元の恋と現実の恋くらいは私も分けていた。だからこそよく分からなくなってしまった。



でも、好きという気持ちに嘘はない。


それを伝えるのは意外にも難しくて、私は毎日のように云う好きを彼がどう受け止めるかは治くん次第なのも分かっていた。






少しの沈黙の後、ゆっくりと顔を上げて私を見た治くんは、不安げな顔をして口を開く。




「…Aは、何があっても私とずっと一緒に居てくれるかい?」


「当たり前だよ。治くんが嫌って云っても、ずっと一緒に居るよ」


「私がAを拒絶する訳ないじゃないか」



即答して安心させるように微笑んだ私に、治くんは嬉しそうに頬を緩めてそう云った。



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第二十一話 安心感→←第十九話 夢物語の幸福



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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月10日 19時) (レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - I am gotさん» コメントありがとうございます!神作だなんて…!!(泣)こんな作者の作品を好いて下さり本当に有難うございます!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年7月21日 14時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
I am got(プロフ) - ヤバイ。神作。めっちゃ好きです!!続編楽しみにしてます!! (2019年7月21日 14時) (レス) id: dd6540e082 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 結月さん» コメントありがとうございます!沢山妄想しちゃって下さい!(笑)更新頑張ります! (2019年7月18日 10時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - 今日も今日とて妄想させて頂いてます!更新待ってます (2019年7月18日 10時) (レス) id: 013547788b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年7月14日 16時

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