番外編 白熱の帰宅 ページ46
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目の前の扉を見つめ、私は固唾を呑み込んだ。緊張と不安で額に冷や汗が滲む。
やけに早く脈打つ心臓を抑え、私は唇を引き結ぶとゆっくりと扉を開けた。
すると、一番最初に視界に映ったのは意外にも眼鏡が特徴的な国木田さんだった。
「…A！？」
私を視界に映した途端声を上げた国木田さんに伴って、社内全員の視線が私に向けられる。
気まずさと戸惑いに言葉を詰まらせる私を他所に、国木田さんはいつになく恐ろしい形相で口を開いた。
「一体ここ数日どこに行って居たのだ！？」
正直当然の反応と言えるだろう。マフィアに拐われてから私は行方不明になって、社にも一度も連絡していないのだから。
最早失踪と間違われても仕方ない。
何とも言えない気持ちを抱えながら、私は誤魔化すような曖昧な笑みを浮かべた。
「…風邪を引いていまして…」
「風邪…？…風邪なら何故連絡を入れなかった」
「…その、すっかり忘れていまして…」
さすがにマフィアに捕まっていたなんて言えないし、こう言うしかないだろう。
とはいえ、矢張り嘘を吐くのは罪悪感がある。
第一この嘘には無理があるだろう。けれどあっさりと信じてしまった国木田さんは、矢張り騙されやすい。
思わず苦笑いを溢していると、背後から肩に手を置かれた。
嫌な予感がして後ろを振り返れば、案の定満面の笑みの与謝野さんが立っている。
「A、アンタ怪我してるね？」
「…な、何で」
「妾は医者だよ。その位一目見れば判る」
さすが与謝野さんと言うべきだが、今は到底喜べない。
私は一気に血の気が引いていくような感覚を覚えながら、思わず頬を引き吊らせた。
「治療の時間だよ。その際、きっちり事情を聞かせて貰うからねェ」
「え…ちょ」
最早弁解の余地無しだ。
そのまま引き摺られるように引っ張られていく私を、探偵社の皆は哀れみの目で見つめている。
内心これからの地獄の治療を考えて泣きそうになったのは言うまでもない。
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水瀬月鏡(プロフ) - 黒揚羽さん» コメントありがとうございます！ハマって頂けるなんて凄く嬉しいです！これからも頑張らせて頂きますね！ (2019年8月12日 10時) (
レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
黒揚羽(プロフ) - はじめまして！この作品を読み始めてどっぷりハマりました！！これからも頑張ってください！応援してます！ (2019年8月12日 9時) (レス) id: 681227896a (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 神様仏さん» コメントありがとうございます！そう言って貰えて凄く嬉しいです！その質問には質問コーナーで答えさせて頂きますね！ (2019年8月11日 20時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
神様仏 - そこで質問なのですが、乱歩さんは夢主ちゃんの事が好きなんでしょうか？それともまだ気になっているみたいな感じでしょうか？乱歩さん推しの私としては気になっていまして… (2019年8月11日 20時) (レス) id: c244c7ed18 (このIDを非表示/違反報告)
神様仏 - 初めまして！水瀬さんの作品の愛読者です！水瀬さんの作品は妙に引き込まれるようなものを感じます。特に私はこの作品が本当に好きで、文章構成や内容もとても魅力的だと思います。これからも頑張って欲しいです！ (2019年8月11日 20時) (レス) id: c244c7ed18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時：2019年7月14日 10時
