【文スト】転生したら最推しに依存された件【太宰治】

第三十三話　銃撃 ページ36

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治くんの誕生日から少し経った。


あの日からの治くんはいつもより上機嫌で、それはもう部下の間であの人は誰だと噂が立つくらい機嫌が良かった。



ずっとニコニコ笑顔だし、いつもは冷たい部下にも終始笑顔で普通に優しかったらしいのだ。


部下にとってみればある意味恐怖だったらしく、あの中原さんもめちゃくちゃ気味悪がっていた。



治くんはちょっと猫っぽい。気分屋で飄々としている所とかが特にそうだ。あと可愛い所も。


まあ治くんがあまりにも嬉しそうだから、私も嬉しくなっていつもより笑顔になってしまうんだけど。






そう、そんな浮わついた気分だったから少し油断していたのだ。




ジワジワと血が滲んでいく腕を見て思う。お気に入りの黒い外套は傷口から真っ赤に染まっており、血がポタポタと垂れる。


焼けるような熱さに顔を歪めながら、私を撃ったであろう人間を探そうと顔を上げる。




今日は普通の任務だったんだけど、それが丁度終わった頃に何者かが銃で撃ってきたのだ。


とはいえ犯人は分からない。



私を銃撃した人物はもう居なくなっているし、この怪我じゃむやみに動けない。一応手当てをしないと、出血多量になりそうだ。


まあでも、此処には誰も居ないしこっそり異能力を使っても平気だろう。



そう思い異能力を使おうとした時だ。






「…A…？お前何で此処に…。…！どうしたその怪我！！」



そう言って慌てて駆け寄ってきたのは、赤い髪が特徴的な作ちゃんだった。




私は自分の運の無さに自分を呪いたくなった。よりにもよって作ちゃんにバレるとは。




因みに何故ここまで私が焦っているのかと言うと、理由は単純で治くんにバレるとスゴく面倒な事になるからだ。


治くんは私関係の事に対しては怒らせると本当に恐い。私の中では治くんは怒らせてはいけない人ランキングNo.1に輝いているのだ。





前に私を刺してきた人が居て、因みにそれは嫉妬とかなんだけどその時は軽傷ですんだ。



だけど治くんがめちゃくちゃ恐い顔をしていたのは覚えているし、その後その刺してきた人を私は一度も見ていない。



知っているのは私を刺した三日後に死んだという事だけ。



黒服の人達が酷く青ざめた様子だったし、本当何をしたんだ治くんはとツッコミたくなりながらもそれは言えなかったのを覚えている。




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