65話 私の過去 ページ17
A「昔はね…………近所の人たちから仲のいい家族って評判だったんだ…………でもね……ある日を境にそれは崩れた…………｣
木暮「崩れた？」
A「私が小さい頃、車に引かれそうになってね……父さんが私を庇って死んじゃったんだ｣
木暮「！？」
A「……それからかな……家族が崩壊したのは………」
木暮「崩壊……」
A「……母さんがね……父さんがいなくなったことで精神が不安定になっちゃって………………毎日のように私に暴言を吐くようになった………｣
私は目を閉じると思い出す……あの頃を…………
"どうしてあの人がこんな子の代わりに"
"ホント、使えない子ね"
A「……暴力とまではいかなかった…………母さん、少し身体が不自由だったから…………
父さんがいた頃は、父さんが不自由な母さんの代わりに家事とかいろいろやってた……でも、父さんがいなくなってからは、私が父さんの代わりに家事とかしてた…………
あの頃は母さんに認めてもらいたくて、必死になって母さんに尽くしてきた…………
私が頑張れば、あの頃の優しい母さんに戻ってくれるってずっと信じてた…………
でもね……そう簡単にはいかなかった…………
………ある日、突然……母さんが……
"仕事に行ってくるからいい子で待ってて、Aの美味しいご飯楽しみにしてるから"
って言って家を出てったんだ……
…………この時、昔の母さんに戻ってくれたのかなって思った。だから、私は母さんの帰り楽しみに待ってた…………
でも、どれだけ待っても母さんは帰って来なかったんだ……｣
木暮「！？オレと同じ……」(ﾎﾞｿｯ
A 「その時、私は"あぁ、捨てられたんだ"って……"裏切られたんだ"って思った………………
その時から私は、その人のためにいくら頑張っても…………その人のことをどれだけ信じていても結局、最後は裏切られる…………
人を信じちゃいけない…………
信じれるのは自分だけだって思った…………｣
木暮「…………信じられるのは自分だけ……」
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作者名：桜舞姫 | 作成日時：2016年8月15日 21時
