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「ねー無一郎?」



「なに?まだ真っ直ぐなの?」



「うん、ずっと。
ね、さっきの男の人死んじゃった?」



「は?なわけないでしょ。急所狙ったら気絶しただけ」



「そっか....かっこよかったよ」



「は?あの男が?君頭おかしいんじゃない」



「違うよ。無一郎が」






無一郎は怒ったのか黙ってしまった


耳が赤いのは、夕日のせい?






「あ、着いたよ無一郎」





「.......ねぇ、ここってさ」









無一郎の背中に乗ること十数分、ようやく目的地についた。






「早く乗ろっ」




「はいはい」









「わー!見て!綺麗だねっ」






そう、私が行きたかったところは、





「なんで観覧車なの?」




観覧車。

プールとも思ったけど、時期的に難しい。となれば、思い出の場所はここしかないと思った





「私たち、一回だけ一緒に乗ったんだよ!もちろん日本のねっ」




「そんなの知ってるよ」






窓からみる気色は、場所は違うがあの時と同じように美しい


私を見る彼の目は、あの時と違って少し冷たい






「隣きてよ。ね?」






「分かったから引っ張らないで」






ムスッとした顔で隣に来てくれた





うわぁ.......



なんか、こんなに近距離で見たの、2年ぶりだな



目線も高くなってるし、それにやっぱりかっこいい






「何ジロジロ見てんの」




「えへへっ.......なんか、久しぶりだなぁって」






私は無一郎をずっと見てるけど、彼はこっちを一度も向かない

横顔も、随分大人びた気がする





「.......ねぇ、何か、思い出さない?よね」





しつこくてごめん。聞くのはこれで最後にするから






「うん、ごめん」




やっぱり、か




「ううん、もういいの。
だからさ、一生のお願い。もういっこさせて?」





「.......いいよ」






「抱きしめていい?」






何も言わないことを、私は肯定と捉えて、ぎゅっと力強く抱きしめた




2年越しの彼の体には、私の手は回りきらない




「変なんだ」



頭の上で、そう聞こえた




「思い出せはしないんだけど、なんか、胸が締め付けられるんだ。僕は多分、すごく大事な物を失った」






「その大事なものって、多分君なんだ」







ようやくこっちを向いた無一郎は、






涙を流していた。








そして静かに、








私の背中に、腕を回した。







「なんで、思い出せないんだろう.....」







私の肩が、無一郎の涙で濡れていく

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えお子 - とっても素敵なお話ですね!!続きのお話もみてみたいです、、 (9月24日 1時) (レス) @page44 id: ab323fe17a (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - 最高でした!!!!!続きの小説に飛べないのですが、もう続きはでないのでしょうか、? (8月7日 16時) (レス) @page44 id: e2cd766be4 (このIDを非表示/違反報告)
- もう続きは出ないのでしょうか🥲最高でした!!ホントもっと早く見つけたかった、、、めっっっっちゃかんどうしたしちょいちょい笑えるところもあって面白かったです!続き待ってます💪🏻 (6月30日 22時) (レス) @page44 id: e2cd766be4 (このIDを非表示/違反報告)
- まじ号泣です泣 (2021年8月14日 17時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
夜々*(プロフ) - いいシーンなのに、目からポカリで笑っちゃいました(笑) (2020年10月7日 14時) (レス) id: b94f92643a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつ | 作成日時:2020年5月16日 14時

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