44話：永久ティージング！ ページ46
貴志部「……もう…。A、絶対動くなよ。」
貴方「え……？」
その合図とともに、両腕を優しく掴まれる。
貴志部くんの顔が近づいてきて、もうすぐで唇同士が触れるという寸前で止まった。
貴志部「オレの目だけ見てて。」
貴方「っ……。」
周りからカウントダウンの声がする。
貴志部くんの目だけを見つめていればいいのに、羞恥で顔がブワッと赤くなってくるのが分かった。
睫毛長いとか、目の色が綺麗とか、ほんのり良い香りがする……なんて邪念ばかりで。もはや周りの声なんて聞こえない。
貴志部の息が遠慮がちに少しかかる。気を使って息を止めているのかもしれない。10秒って思っている以上に長いや……。
「10！」というカウント終了の声で我に返った。
貴志部くんはゆっくりと私から離れて、顔を背けた。
貴志部「ご、ごめん…。」
貴方「私こそ…ごめんなさい…。」
ぎこちない雰囲気をぶち壊す様に、周りからは冷やかしの声が上がった。監督達は「青春だねぇ」と笑っている。止めてください。
総介「やるじゃねーか、貴志部。」
快彦「キャプテンかっこよかったです！」
貴志部「何も言うな！」
雨宮「僕、女の子だったら今頃きっと貴志部くんに惚れてたかも。」
氷里「これぞ聖帝ゲームって感じだよね。」
木瀧「二人とも顔赤すぎ。」
総介「おーい、マネージャー。感想はどうよ。うちのキャプテンすげーだろ。惚れたか？」
貴方「す、凄く……かっこよかったです…。」
私の一言で、またその場はワッ！と盛り上がってしまった。まだ顔の熱が引かないや。
貴志部「もうやめてくれ…。」
亜風炉「ほらみんな、次だよ。」
雨宮「じゃあ割り箸戻してー！」
聖帝ゲームって結構ハードかも…。
また、雨宮くんの掛け声で
みんなが一斉に割り箸を引き抜いた。
快彦「あ！聖帝だ！」
跳沢「やったな快彦！」
亜風炉「快彦、命令は何だい？」
快彦「えっと、11番が3番に愛の告白して下さい！」
雪村「ろくなもんねぇな…。」
氷里「雪村3番じゃん。」
雪村「はぁ！？」
吹雪「11番は誰かな？」
雨宮「はーい！」
雨宮くんと知った瞬間、雪村くんがとてつもなく嫌そうな顔をした。
雨宮「雪村くんに愛の告白なんて、なかなか難しいね。」
雪村「失礼極まりないなアンタ！」
雨宮「まぁいいか…。よし…聞いて下さい、雪村くん。」
雪村「うっ…。」
雨宮くんはそう言うと、雪村くんの手を取って詰め寄って行った。雪村くん、顔面蒼白だ。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月18日 23時
