41話：勘違いソリューション！ ページ43
貴方「結局見つからなかった……。」
門限まで残り30分。同じところを探し回ったり、今朝到着した駅まで、無いだろうけど一応見に行った。
それでも発見できなかったから、もしかしたらもう見つからないのかも……。誰かが拾ってくれているのだろうか。
貴方「はぁ……もうびしょ濡れだし、別にいいかな…。」
大雨の中、宿舎近くの公園のベンチに腰掛ける。1時間探し回って疲れた。雨に打たれれば、嫌な気持ちも流れていくかと思ったけど、もっと憂鬱になってきたし……。
貴方「……そう言えば何だかこの景色懐かしい気がする。前も大雨の中で……こうして…。」
ボンヤリと思い出す。見たことも無い景色。ここと似たような、少し寂れた公園のベンチ。アレも、今日みたいに大雨の夜だった。何をしていたのかまでは思い出せないけど……。
貴方「あーあ……。これじゃ、また雪村さんに駄目なマネージャーだって言われる……。」
雪村「本当にな。」
貴方「やっぱり……。……え？」
雪村「アンタ、何してんだよこんな所で。」
貴方「え……え？雪村さん！？そんなに濡れてどうしたんです！？」
雪村「アンタなぁ……。人の心配する立場じゃないだろ！」
貴方「す、すみません……。」
雪村「……で、何してたんだよ。」
貴方「探し物…です。大切な物を失くしてしまって……。」
雪村「はぁ……。今日は門限もあるから宿舎に戻るぞ。」
貴方「でも…。」
痛いくらいに雨が身体に当たってくる。
酷い顔してるかな……。雨が強いから、泣いてるのもバレないだろうけど。
雪村「……明日、練習終わったら一緒に探してやるから。とにかく戻ろう…。アンタに風邪でも引かれたら、グループ4のみんなが困るからな。」
そう言って、雪村さんはジャージを頭から掛けてくれる。
雪村「多少は雨当たんねぇだろ……。もうズブ濡れだから意味無いかもしれないけど。」
そう言って、仏頂面のまま差し出された手は
濡れているのに温かかった。
貴方「雪村さん……。ありがとうございます。」
雪村「…同い年だろ。敬語じゃなくていい。」
貴方「雪村……くん…。」
冷たい人だと勘違いしていたけど、本当はこんなにも優しいんだ……。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月18日 23時
