Hide My Feelings【イナGO・イナクロ】 (ページ34)

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32話：選手コーチング！ページ34

熱心に本を読み、ノートに書き込んで
気が付けば夕方になっていた。

貴方「もうこんな時間…。少しだけ第4グラウンドでも見に行こうかな。」

グループごとに使える宿舎とフィールドがあり、
第4グループのグラウンドを下見するために
私はノートを持って部屋を出た。

人工芝のフィールド。声も響きやすそう。
特に危ない物は落ちていない。ボールもたくさんある。

貴方「…このままだと運動すると少し暑いかも。空調は練習前に少し下げておく…と。」

必要なことをメモして、明日の練習に備える。
水鳥ちゃんと茜ちゃんに教えてもらった。

貴方「明日は、朝からドリンク作りと…、タオルの準備。ボールの出し入れと……。」

ノートを見ながら確認をしていると、
突然後ろから声が聞こえた。

？「熱心ですね。」

貴方「…！あ、アナタは…木戸川清修の滝快彦さん…！」

快彦「兄さんと被るので、快彦でいいですよ。」

貴方「快彦くん…。えっと、練習は明日ですよ…？どうしてここへ？」

快彦「みんなよりもっと練習しないと、上手くなれないから…。」

貴方「！…自主練習ってことですか。凄いですね、快彦くんは。」

快彦「え？いや、凄くなんかないですよ…。ずっと羨むだけだったので…。でも、兄さんやキャプテンみたいになりたいんです！」

貴方「うん…。一緒に頑張りましょう。私もお手伝いします。」

快彦「で、でも、藤咲先輩はマネージャーの仕事が…！」

貴方「快彦くんを支えるのも、私のお仕事ですから。」

快彦「お願いします…！」

それから、無い知恵を絞って
快彦くんとトレーニングをした。

快彦くんが丁寧に、フォーメーションや
ポジション、必殺技などについて教えてくれる。

１つ１つメモを取るたびに
分からないことが増えていく不安と戦いながら
快彦くんのプレースタイルを改善していく。

快彦「藤咲先輩！サッカーって楽しいですね！」

快彦くんの心からの笑顔。サッカーに向き合い、苦しい中でも成長しようとする彼は輝かしい。

私は、分からないを言い訳に逃げようとしていた。
甘んじていた。それではいけないんだ。

貴方「…快彦くんを見習わないと。」

ギュッとノートを握りしめる。
雪村くんの言葉が反芻して、私の心臓を抉った。