13話：迷子ヘルプ！ ページ15
貴方「えっと……。この駅を降りたら角を曲がって…、少し坂を上がる。こっちかな。」
あれから、すぐに雷門を出て
電車に乗り込み、木戸川清修中学の最寄り駅までやってきた。
人通りはそんなに多くない閑静な住宅街だけど、
どこか安心する。
夕焼けに照らされた街が、一層美しく見えた。
貴方「すぐに着くと思ったんだけど…。うーん、どこかで道を間違えたのかな……。」
それにしても、駅から歩いて20分は経っている。
円堂監督は10分くらいで着くと話していたから、
もしかして……いや、絶対道に迷っている。
貴方「さっきの角を曲がるのかな…。ええ……どっちだろう…。人が居ないから聞くに聞けない……。」
道を戻ろうと、振り返ったその時。
ドンッと誰かにぶつかってしまい、慌てて距離をとる。
貴方「ご、ごめんなさい！大丈夫ですか…！？」
？「こちらこそ、すみません。お怪我はありませんか？」
貴方「は…はい……。」
深緑色の学ランを着た、大人しそうな男の子が立っていた。
貴方「あ、あの……。もしかして木戸川清修中学の方ですか…？」
？「はい、そうですけど…。」
貴方「不躾にすみません。実は、木戸川清修中学のサッカー部に用があって来たんですが、道に迷ってしまって…。ここからどう行けば良いですか？」
？「ウチに用が？」
貴方「え、ウチって……まさか。」
？「オレ、サッカー部なんです。良ければ案内しますよ。」
貴方「え！良いんですか？」
？「はい。学校、少しわかりにくい位置にあるので。」
貴方「すみません、下校途中だったんじゃ……。」
？「いいですよ。」
貴方「ありがとうございます…！」
親切なサッカー部の人が、案内してくれることになった。木戸川清修中学って、聞く限りではサッカーの名門で、勉学も優れているから、少し固いイメージがあったけれど、真面目で優しそうな人だな。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月18日 23時
