９２３話：帰る ページ8
貴方「あの…ね。上手く言えないけど…、私はカルラとカルマは似てるけど別の妖怪だって思ってるよ。」
カルマ「え…？」
貴方「カルラは優しくて、でも強く出るところもあって…。カルマは強引だけど、周りのことよく見てるなって思う。ほら、こうして見ると2人は別人みたいじゃない……？」
カルマ「……」
貴方「カルラの記憶があるから、アナタがカルラになる必要なんてない…。アナタは、アナタの好きなように生きて良いんだよ。」
カルマ「僕の好きなように……。」
貴方「それに、私も…カルラを守りたいんだ。カルラだけじゃない、他のみんなも、勿論カルマも。」
カルマ「僕も…？」
カルマの瞳が揺れる。
貴方「本当は鬼も救えるなら救いたい…。誰も傷つかない方法があるなら、それを選びたいんだけど…。難しいよね。カルマが鬼を殲滅する手助けをして、仲間を助けたいのと、私もきっと目的は同じ…。大切なヒトを守りたい。」
カルマ「…」
貴方「今はまだ無力で、守られてばかりだけどね…。だから、カルマが辛くなったら、私が支えるから…。だから、もう独りだなんて言わないで。」
カルマ「A…。やっぱり僕…、君が好きだよ…。君のそういうところが、大好き…。」
貴方「カルマ…。」
カルマ「ねぇ…、抱き締めさせて…。」
カルマは今までに見せたことのない
辛そうな、苦しげな表情をしていた。
貴方「うん…。」
カルマは私の上半身を起こすと、そのままゆっくりと抱きしめてきた。今までにないくらい、穏やかな気持ちでいられる優しい手つき。こんな抱き締め方もできるんだね…。
生来、カルマはきっと心穏やかな優しい妖怪なんだろう。
独りになって焦って、自我を失っていただけで…。
本当は甘えたで、誰かの温もりを求めていたのだろう。
貴方「カルマ…。大丈夫、私も…カルラ達も傍にいるから。」
カルマ「うん…ありがとう……。」
貴方「……カルマ…？」
カルマは私から離れると、控えめにこう告げた。
「妖気を奪ってごめんね…。返すから、口付けさせて。」
カルマは、もう強引に唇を奪おうとはしなかった。
貴方「うん…。」
カルマ「…Aさん、好きだよ。」
触れるだけの優しい口付けに、
スッと妖気の戻ってくる感覚。
冷えた手に熱が戻ってくるようだった。
カルマ「……帰ろう。」
貴方「そうだね。」
私達の居場所に、みんなの所に帰ろう。
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (
レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです！ (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年12月19日 14時
