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952話:見えない所 ページ38

貴方「春火に話しかけても何も起こらないし…。入れ替わることもできない…。みんなの会話の内容からして、良い事を話しているようには聞こえなくて……。私、春火に騙されたのかなって…。」

女郎蜘蛛「……そうよ!アンタ、あの女に良いように利用されてるのよ!」

貴方「……ごめん。春火が私の声に応えてくれなかったから、舌を噛み切れば意識が戻るかと思って…。」


話している間にも、口から血が流れる。
それを見ていた土蜘蛛が着物を脱いで、私の口に押し当てた。


貴方「つ、土蜘蛛……!着物が…!」

土蜘蛛「着物など、どうでも良い。女郎蜘蛛、さっさと手当てをせよ。」

女郎蜘蛛「そんなこと言ったって、道具なんてないわよ。早く帰りましょう。この空間から脱出したいなら、アンタ達も手伝いなさいよ。……方法は知らないけど。」

烏天狗「鬼を倒しても出口が現れない…となると、もしかして結界術で隠されているのかな。」

カルマ「もしそうなら、見つけるのも解除するのも厄介だよ。」

貴方「……ゲホッ…。結界の解除なら、私に任せて。」

女郎蜘蛛「え……?アンタ、そんなことできるの?」

貴方「ううん…。できるかは分からないけれど、何となく結界の出口の気配がする。」

カルマ「僕達は何も感じないけど…。」

貴方「……多分、こっち。」


薄くて、不明瞭な今にも消えそうになっている結界の出口。どうして分かるのかは、それこそ私にも分からない。ただ、鬼の気配がするような、なんとなく懐かしくなる。

春火や酒呑童子と似た気配、といったところだろうか。

あのまま春火を野放しにしていれば、春火だけ外に出てみんな閉じ込められる…なんてことになっていたかもしれない。


貴方「この辺りかな……。」

烏天狗「それっぽいモノはないね。」

貴方「……うーん…。気配が薄くてイマイチどこなのか…。結界の核みたいなものは近くにあるはずなんだけど。」

キュウビ「そこを攻撃すれば、結界が解けるのかい。」

貴方「多分…?」

土蜘蛛「煮え切らんな。」

女郎蜘蛛「アタシ達じゃ、その核の場所もわからないし。アンタだけが頼りよ、頑張りなさい。」

貴方「ん……。」


口から血も溢れてきて、痛みでどうにかなってしまいそうだ。でも、今倒れるわけにもいかないし…。毒草で足元痛痒い。みんなも早く手当しないと…。

どこだろう…。大切なものを隠す場所。
目に止まらない場所。

今立っている場所から、見えない所は………。

953話:試し→←951話:舌を裂け



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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻‍♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年12月19日 14時

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