９４８話：カルマの鬼化 ページ34
出口のない空間に戸惑っていて見落としていたが、私達以外の鬼の気配が微量ながらする。
酒呑童子ではない、けれど酒呑童子の血に近い鬼の気配だ。きっと、血薬を用いるよりも自身の血を与え強い鬼を作っているのだろう。
貴方「……」
何体だろう。……5、いや……もっと…。
目を閉じると更に鬼の気配を集中して感じる事が出来た。
恐らく、8体。攻撃が来る。どこから？
………ここから私達に気付かれない位置で
確実に全員を仕留める様な一撃をお見舞するなら…。
私ならどこを狙うだろうか……。
貴方「……上！」
カルマ「敵襲か！」
私の声に気付いた土蜘蛛と女郎蜘蛛が、
私と同時に結界をはる。
豪雨のような攻撃に、体力の消耗した私達は苦戦を強いられる。土蜘蛛も女郎蜘蛛も、弱くないのに。
女郎蜘蛛「……この空間から脱出する方法を考える時間もくれないっていうのね。」
土蜘蛛「全くだ。しかし、大方予想はついているだろう。出口がないのではなく隠されている。……この鬼達を倒してからが本番だろう。」
大ガマ「さっさとやっちまうか。」
キュウビ「Aとカルマは、僕達の後ろにいて。」
貴方「でも…！私達も戦えば1体ずつ相手できるじゃない…！」
カルマ「Aさん…。」
カルマが私を降ろし、手を引く。
そのまま私の着物の首元を摩る。
カルマ「こんな傷で戦わないで……。」
貴方「そんなの、みんなだって…！」
毒草の沼のせいか、みんな足が次第に被れてきているように見受けられる。鬼化も戻らないし、土蜘蛛と女郎蜘蛛に至っては結界術で体力を消耗している。こちらが不利なのは目に見えている。
カルマ「……こういうことなんだね…烏天狗。キミが覚悟しろって言ったのは…。」
烏天狗「……ああ。」
貴方「カルマ…？」
カルマは懐に手を突っ込むと、真っ赤な液体の入った瓶を取り出した。これは、血薬だ…。
貴方「カルマ！！その瓶を今すぐ捨てて！」
反射的にカルマから瓶を薙ぎ払おうとする私の手を、女郎蜘蛛がとめた。その場にいる私以外の誰もが、カルマが鬼化することを肯定しているように見えた。
わかっているわ。戦力が必要なことも、カルマがそれに値することも。だから、私の反対意見なんて意味がないってことも。
カルマ「……Aさんありがとう…。僕はキミを信じてる。必ずこの地獄が終わることも元に戻ることも、キミが一緒なら大丈夫だって思えるんだ。」
そう言うとカルマは血薬を飲み干した。
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (
レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです！ (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年12月19日 14時
