937話:血 ページ23
目覚めた日の夜から、妖魔界には雨が降り始めた。
寒いけど、雪に変わるには至らなくて。
銀世界に包まれていた地上は、土が現れて
私達の感情をさすがのように濡れた。
貴方「今日で4日目…。簡単なことではないと思っていたけれど、ここまで酒呑童子の居場所がわからないなんて…。」
土蜘蛛「焦っても仕方がなかろう。大王様は、南で起こった水害に際して、こちらに構う余裕もない。」
大ガマ「未来に行けねぇんじゃ、あの変な妖怪から戦いの進捗状況も聞けねぇし。鬼はこの雨でも元気に暴れ回るから、オレ達はその対応に追われる。」
オロチ「師走は忙しいと言うが、本当にその通りだ。」
大やもり「女郎蜘蛛が中心で進めてた、湖の水の研究も止まったままだし…。」
キュウビ「ここまでやってきたのに手詰まりになるなんて、踏んだり蹴ったりだよねぇ。……あ、A。今ちょっと良いかい?」
貴方「うん…?」
大ガマ「あー?なんだキュウビ。暇だからって、Aに逢い引きでもしてんのか?抜けがけすんな!」
土蜘蛛「お主は口を開けばそのような事ばかり…。」
キュウビ「…少し、大切な話があるだけだよ。」
キュウビに連れ出され、やって来たのは研究室だった。
薬品の匂いや、何度も読み返されてページに跡形の残る本が至る所に散乱している。
貴方「キュウビ、話って?」
キュウビ「……大ガマから話は聞いたと思う。酒呑童子の血を、半分飲んでしまったって。」
貴方「あ、うん…。それで、鬼化が長引いたって…。」
キュウビ「うん…。今回みたいに長く眠りについたり、変なところは幾つかある…。何故そうなるのかは僕にも分からない。数少ない鬼の文献を読み返して、僕はそこである仮説を立てた。」
貴方「仮説…?」
キュウビ「…キミに、酒呑童子の血の操る効果は齎されないという仮説だよ。」
貴方「どういうこと…?」
キュウビ「酒呑童子の血、もしくはそこから鬼になったものの血を改良して作った血薬を用いることで鬼になる。失敗作になれば狂い、真の鬼族の血を与えることで覚醒する。一方で、僕達のように酒呑童子の支配下から外れる存在もいる。それはきっと、A…キミの血を飲んだおかげだ。」
貴方「え…?」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時