検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:6,800 hit

928話:鬼 ページ13

大やもり「うん。背中の傷も塞がってるし…。後は炎症を抑えるだけかな。薬また出しておくね。」

カルマ「これ…切り傷だけじゃないよね。」

大やもり「わかる?これが切り傷の痕で、ここが…炙った痕だよ。」

カルマ「炙る…。焼灼止血か…。」

大やもり「……君、案外医療の知識があるんだね?」

カルマ「カルラの記憶のせいもあるけど。僕、これでも自分の世界では医術師だからね…。」

貴方「え、そうなの?」

カルマ「僕だって生きるために職くらい就いてるよ…。」

大やもり「ねぇ、その知識…僕達と一緒に活かしてみない?」

カルマ「え…?」


確かに、女郎蜘蛛が抜けた今
医療に長けたカルマが研究や治療に加われば
何かあった時にも対処できる…。


貴方「カルマが良ければ…だけど。」

カルマ「……いい…けど…。」

貴方「けど…?」

カルマ「えっと…、僕…その。……あまり手先が器用じゃないんだ…。」

貴方「えっ?」

大やもり「え…。」

カルマ「診察とか、処方するとかは問題ないんだけど…。手当するとなると手際悪くて……。」

貴方「っ…!か、カルマ…!?」


カルマの手が私の背中を撫でる。
冷たい指が触れるだけで、なんとも言えない感覚に襲われる。


カルマ「あ…、ごめん。」

貴方「う…うん…。」

カルマ「腕の傷は…?これ……鋏…?」

貴方「え…分かるの…?」

カルマ「ねぇ、これ…いつの傷?」

大やもり「確かカルマが来た前日だよね?」

貴方「うん、そうだよ。」

カルマ「利き手、見せて。」

貴方「はい…。」


カルマは私の掌を色んな角度から観察した。
そうして、人差し指と中指、薬指の先端を指さした。


カルマ「もう分かりにくいけど、ここ…ほら。線が入って皮が剥けているでしょう。この傷を作る時、鋏を限界まで開いて、刃元を纏めて持った証拠だ。……自傷行為、だね。」

貴方「……吸血衝動がつらくて…。紛らわせようと…。」

大やもり「あの吸血衝動、結局5時間くらい続いたんだよね…?報告書にそう書いてあったんだけど…。」

貴方「うん…。エンマさんの血を飲んだけれど…やっぱり苦しいままで…。アレも、血薬を飲んだからなのかな…。」

大やもり「どうだろうね…。」

カルマ「血薬って…?」

大やもり「妖怪を鬼に変えてしまう薬のことだよ…。鬼の血から作っているんだ。」

カルマ「…は?それって…どういう……。もしかして、Aは鬼……なの…?」

貴方「……黙っててごめん…。」

929話:薬→←927話:治療



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻‍♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁兔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年12月19日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。