キミと、アオハル。2【黄瀬涼太】

74話 CM撮影 ページ39

『おはようございます！』


薫｢あら、Aちゃんじゃない！｣


私がいつもお世話になっている、この前の現場でも同じだったメイクの薫さんがいた。
また同じ現場で凄く嬉しい。



『薫さん！また同じ現場なんですね！よろしくお願いします！』

薫｢ふふ、よろしくね。
じゃ、そこ座ってちょっと待っててー｣

『はーい』


そういってスマホで何やら打ってからまたこちらに戻ってきた。


『お仕事ですか？大変ですね。』

薫｢まあそんなとこねー。
Aちゃんも忙しいでしょー。
…なんか元気ない？どうしたの？｣


『えっ…』


この人はどうも私の変化に気づくのがうまい。


薫｢ほれ、おばさんに話してみー？｣


『薫さんまだおばさんじゃないですよー？
…実はですね、』



私は隠しても無駄だと思い、薫さんにことの経緯を全部話した。




薫｢黄瀬くんとそんなことがあったのね。｣

『はい…。』

薫｢んー、Aちゃんはもっと素直になればいいだけよ。
連絡先、持ってるんでしょ？｣

『はい。』

薫｢じゃあ、電話でもメールでもするしかないわね。それでちゃんと話してみなー｣

『え、でも、』


あんなこと言ったあとに連絡なんてできない。


薫｢でも、じゃないのっ。好きなんでしょ？｣

『…へっ！？』


本当にこの人にはお見通しだ。
かなわない。



薫｢あら、違う？｣

『違くない…と思います。』

薫｢じゃあ、頑張ってね〜。
…はい、できた。可愛いわー。｣




茶化されているのか、ほんとにそう思ってくれてるのか分からないような言い方だ。





『…ありがとうございます。』

薫｢ほーら、せっかく可愛いんだから！ムスッとしないの！いってらしゃい！｣

『はい…！』


そうしてわたしは撮影場所に向かった。

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