卅弐頁 ページ33
異能生命体。
異能力によって存在する生き物。
それは、森の異能生命体の『エリス』のように人に近い形をした者もいるし、そうでない者もいる。
そして共通しているのは、その異能生命体を存在させることの出来る異能力者がいると云うこと。
子供は母親が居なければこの世に生まれない。
つまり、太宰修治を存在させている異能力者がいる。
その人物の全てがわからない現状で、修治をポートマフィアに入れることなど出来はしない。
しばらく無言で森を見ていた修治はそっと目を伏せて、小さな声で話した。
「……わからない………」
「……わか、らない?」
ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめ、涙を浮かべるその姿は、ただの幼い子供だった。
「ずっと探してるんだ。森に会う前から、治のお兄さんになる前から。
でも見つからない。何もわからない。
俺は誰の能力なんだろう。
…なんでそう考えると泣くんだろう。
………本当に、本当に何もわからないんだ」
そうはっきりと語った修治は悲しそうに目を伏せている。
「……なら、姿が見えないときはその異能力者のことを探しているのかい?」
「探してるときもある。でもそうじゃなかったりする」
「…………?」
曖昧な言い方に首をかしげてみせると、修治は目を右往左往させてそのまま此方を見ずに斜め下を見つめて、さっきよりも小さな声で言った。
「……その、ええと………ピィちゃんがナナちゃんの子供産むのを手伝ってて……」
「なるほど。……で、君は何を持ち出したのかな?」
「………………毛布を、たくさん。それと……エリスにも手伝ってもらった」
その後、太宰が入ってくるまで説教を続けた。主にエリスちゃんと勝手にお出掛けしたのが理由で。
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ロト - よみさん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただけてとても光栄です。続きが気になる作品だったなんて本当に嬉しい誉め言葉です。ありがとうございます! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
よみ - 受験頑張って下さいね。とても、面白くて、続きが気になる作品だと思っているので、早く二月になれ!っと祈りながら、更新お待ちしております。 (2020年1月6日 17時) (レス) id: 587f0ad974 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロト | 作成日時:2019年8月1日 18時