検索窓
今日:1 hit、昨日:16 hit、合計:63,151 hit

参頁 ページ3

ナナちゃん?………確か、猫だと云っていた気がするな、と思い出す。
すり鉢街の猫だったのか。


「そうだ、君にお願いがあるのだよ」


ぱっと表情を明るくし、机に向かう森とは逆に、修治は顔をしかめる。


森との長い付き合いからこの表情をしたときの要求は大抵面倒くさいものだと云うことを知っているのだ。

故に、


「……やだ」


断るのも当然の事である。


「…いつもの料金に猫用にぼしつけるよ?」


猫用のにぼし。
それは、持っているだけで可愛いもふもふな猫が近づいて来てくれるすてきなもの。

それを、くれる?……森が?


「……高いやつか?」


「そうそう、修治君が欲しがってたあのにぼし」


面倒なのはやだ、でもあのにぼしを森はくれると云った……

……森はあんまり嘘は吐かない………


「何をすればいい」


長い黙考の末、そう云った修治に目を細め、嬉しそうにし乍ら森は先程太宰に与えた銀の託宣を渡した。


「君に頼みたいものはね、修治君。『羊』の構成員を捕まえて来てほしいのだよ。できれば、全員無傷で」


「…?思ってたよりかんたんだな。…でもなんでこの紙を俺にわたしたんだ?」


「これならポートマフィアの幹部でも顎で使えるのは知っているね?君は少し、部下を指揮する事を学びなさい」


笑みを浮かべ、教鞭をとる生徒思いな教師のように云う。

それを、何を考えているのかよくわからない目で暫し見つめていた修治は、


「いらない。じゃまだ」


一言そう云って、森が止める前に手に持った紙を破いた。

ポートマフィア首領から授かった、権限委譲書。

それを渡され、宝物のように大切にする者や、自分の手に持っている事が信じられない者は居るだろうが、首領の目の前で破く者など居ないだろう。

少なくとも、修治以外の人間は。


__

肆頁→←弍頁



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
98人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ロト - よみさん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただけてとても光栄です。続きが気になる作品だったなんて本当に嬉しい誉め言葉です。ありがとうございます! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
よみ - 受験頑張って下さいね。とても、面白くて、続きが気になる作品だと思っているので、早く二月になれ!っと祈りながら、更新お待ちしております。 (2020年1月6日 17時) (レス) id: 587f0ad974 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ロト | 作成日時:2019年8月1日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。