隠れられない ページ21
「ご、ごめんなさい…ちがう、ちがいます…」
震えはおさまりそうにない。
目の前にたたずむ男の人に、私はただひたすらに謝罪をした。
自分がなにか悪いことをした覚えは別に無い。
ただ、謝れば罪は軽くなると思ったから。
「なんでそんなに抵抗するの？」
男は私に言った。
狂気の目で私を見ながら、何度も何度も横の壁に包丁を突き刺しては、離す。
「俺、君になにか酷いことした？」
私は一心不乱に首を振った。
体中の穴という穴から汗が吹きでて、床を湿らせて行く。
「じゃあ、なんでそんなに怯えてるの？何か怖いお化けでも、ここに居るの？」
「いっ、居ないです…！」
震え、止まれ、お願い、止まって
止まらないと、私、私＿＿＿＿＿
治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ治まれ
必死に体をリラックスさせ、震えが弱くなった。
「助けが来るって、思ってる？
いつか俺から逃げられるって、思ってる？」
「お、おも、思わない、です…」
そう言えば、男は微笑んで、壁に包丁を刺すのを止めた。
「じゃあ、ここから出ないよね？
だってさ、出ても助けなんて来ないんだから。ね？」
私は首を必死に縦に振った。
季節は秋のはずなのに、どうしようもなく体と体をまとう空気が暑くて堪らない。
「うん、そう。いい子。
じゃあ俺は仕事があるから、もう行くね
大人しくして待ってるんだよ」
「は、はい…わかりました…」
私は必死に声を絞り出して、
男に向かって精一杯笑った。
笑わないと、この人は私に手をあげるから。
男が満足そうに笑って部屋を出ると、一気に脱力感が湧き出して、私はその場に横になった。
ホコリ臭い匂いは、いつまで経っても消えない
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太宰亜里沙(プロフ) - さっくっさくしたさくりさん» ありがとうございます！そんなふうに言っていただけて嬉しいです！ (2020年12月24日 20時) (
レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
さっくっさくしたさくり(プロフ) - そういうことか、、！日記がところどころひらがななのもん？ってなりましたし、読みながら夢主ちゃんの過去を推理するのもとても面白かったです！！ちなみにめっちゃ泣きながら読んでました() (2020年12月24日 18時) (レス) id: 3f7f9b4577 (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - 夜桜さん» 嬉しいです！ありがとうございます！お時間があればぜひ、見返してみたりもしてみてください〜〜！！！ (2020年6月4日 19時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - わあああ。ものすごく面白かったです！けど、日記のやつ、なんかありそうだけどわかんないいいい。平仮名で書いてるところかなーって思ったけど、単細胞の私にはわからなかった！話ずれましたが、とても面白かったです！これからも応援してます！ (2020年6月4日 19時) (レス) id: 527f5d1e86 (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - はちみつあめさん» そう言って頂けてとても嬉しいです！最後まで見て下さりありがとうございました！！ (2020年6月4日 18時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太宰亜里沙
| 作成日時：2020年5月11日 21時
