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24.呼び方※少々暴力 ページ31

兄さんから訓練を受け始めて少しずつ力を付けていった。

あともう少し、もう少しで兄さんの隣に…


訓練場に一つの銃声が響き渡る。

兄さんが私へ向かっていく放ったものだ。

私は簡単に避けて兄さんに突っ込んでいく。

回し蹴りをお見舞いするも失敗。

腕で防がれた為、向き直って殴りつけようとしたが逆に腹部を蹴飛ばされる。

「ぐぁっ!」

すぐに体制を立て直そうとするが、上手く力が入らず膝をつく。

拙いと思い顔を上げると、再び銃声がした。

すかさず異能を発動して弾丸を溶かす。

横に転がり、銃口から逃れる。

それがこちらに向き直る前に地面を変形させ、壁を作る。

兄さんの周りを囲むように壁を作り上げ、回り込む。

「まだ詰めが甘い…」

兄さんの背中に回り込み、そこだけを解除したつもりだった。

けれど、解除されたところから現れたのは銃口。

「なっ…!?」


「―――どうして判ったんですか?私が出てくるところ」

「うふふ、気配だよ。君はまだ隠しきれてないからね」

あの時、咄嗟の判断で銃身を掴み、割り箸鉄砲へと変化させた。

その為、弾丸が当たることは無かったが、何処から出したかのか判らないゴムを放たれた。

「はぁ…というか、何でゴムを持ってるんですか!」

「それは偶然だよ?真逆君が銃を割り箸鉄砲に変えるなんて、馬鹿らしい事するなんて思ってもなかったよ」

「…さらっとディスりましたね?」

今日も兄さんを完敗させることは出来なかった。

悔しいが、多分勝てる日は来ない。

私は立ち上がり、いつものように服を叩く。

「今日はここまでだね。A」

「はい、何でしょう?」

不意に名前を呼ばれ、返事をしてみるが何も云ってこない。

不思議に思い、「幹部?」と呼んでみた。

「…何時の間にか、"それ"に固定してるね」

「それ?」

兄さんの「それ」が何の事を指しているのか、私には判らなかった。

「何でも無いよ」

次の仕事があるからと云って、兄さんは出て行った。

****

「幹部…ね」

幹部と呼ぶように躾たのは自分だが、いざそれしか呼ばれなくなると少々寂しく感じた。

敬語しか話さなくなり、幹部としか呼ばなくなり、Aが遠のいてしまった。

手の届かない所まで行ってしまった。

「また呼んでくれないかな。あの頃みたいに…」

浮かび上がってくるのは、様々な表情で「兄さん」と呼んでくれるA。

「私は、こんなにも妹の事が好きだったのだね…」

何時か伝えよう…。

ちょっといいですか(震え声)→←23.ご褒美



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オタクなめんな - すっごく面白かったです。映画でも見ているよな感じでした。 (2018年8月15日 3時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - ゆきみだいふくさん» 有難う御座います!喜んで貰えたようでこちらも嬉しいです! (2018年3月26日 19時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみだいふく(プロフ) - 完結ですね!おめでとうございます!!大好きな太宰さんの色々な面が見られて嬉しかったです! (2018年3月26日 18時) (レス) id: 5f17ef063a (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - きのさん» 良かったですw私的には成功です! (2018年3月26日 16時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 泣ける (2018年3月26日 12時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:入浴 | 作成日時:2018年2月26日 16時

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