伍拾弐:初めて出会う ページ6
実side
暫く歩いて、数十分程度だろうか?徐々に見えてきた登山道の方を進み、神社の鳥居を潜った辺りで、補助監督の男性が立ち止まった。
「此処から先は立ち入り禁止の区域になります。人が立ち入れない分、空気が淀み、呪霊の住み着きやすい場所になっています。気をつけてお進み下さい」
「はぁーい!」
「小学生かアンタは」
元気良く返事をする虎杖に、釘崎が溜息をつく。俺は先に広がる森へと視線を移した。
『(確かに…嫌な気配はするな)』
鬱蒼と茂る森の奥から嫌な気配を感じる。前はこんな事無かったんだがな。
「何か感じるのか?」
不意にかけられた伏黒の言葉に、俺は静かに頷いた。
『奥の方が嫌な感じがする。気をつけて行った方が良い』
俺の言葉に皆の表情が引き締まる。と、補助監督の男性が「あの〜…」と声をかけてきた。
「貴方は…?」
『一年の榎森実です。箱って言えば分かりますか?』
「嗚呼、貴方が抑止力の…」
表向きだけどな、抑止力なんてのは。
「では特に気をつけてください。今回の相手は呪力が大きいほど不利になります」
『…?どういうことですか』
伊地知さん、だったか。俺が尋ねると、その人は静かにこう続けた。
「今回の呪霊は力を求める傾向にあるようです。既にこの辺りを縄張りにしていた一級以上の呪霊が目的の呪霊に殺されています。もしかしたら、貴方の中のコトリバコに反応して襲い掛かってくるかもしれません」
『……分かりました』
宿儺の指ほどじゃないが、俺も一応特級相当の呪霊飼ってるからな。いや、俺の場合は俺自身が宿儺の指みたいなモンなのか。
「心配するな榎森、お前は俺達が守る」
伏黒がそう言って「行くぞ」と背中を押す。神社の外れにある樹海の方へと歩いていく後ろで、伊地知さんが帳を展開するのが見えた。
「手っ取り早く済ませるぞ」
「勿論」
「応っ!」
『異論は無いな』
伏黒が玉犬を召喚し先行させる。何か居たらあの二匹が反応してくれるだろう。
足元に意識を向ける。ボコボコと足元から黒い泥が噴き出すと、泥の中から真っ赤な柄の刀を一振り取り出した。
『行くぞ』
「応っ!」
「嗚呼」
「えぇ」
此処からがスタートだ。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時