玖拾伍：成長する呪い ページ49
五条side
無数の呪霊の山が、内側から破裂したように吹き飛んだ。
肉片が周囲に飛び散り、紫色の体液が地面に染み込む。土煙が立ち込める中、僕は山が吹き飛んだ位置に視線を移した。
「…完璧」
圧倒的なプレッシャーが叩き込まれる。土煙が晴れる前に、その煙の中に居た影が動いた。
目の前から一瞬にして影が消える。その直後、視界の右に居た呪霊全てが黒い泥に変わっていった。
悲鳴をあげながら溶けていく呪霊達を前に、残り少ない雑魚呪霊共が戸惑うように騒然とする。溢れる泥が地面を覆いマグマのように沸騰する中、ビシャリと泥を踏みながら一歩前に出る一つの姿があった。
その姿に、思わず息を呑んだ。
鋭く尖った黒い爪を持つ手が、ビキッと音を鳴らして開かれる。黒髪の隙間から覗いた恵と同じ顔には、白目が影より濃い黒に染まった紫色の瞳が蛇のように細まった瞳孔を持って呪霊を睨みつけた。
目元には悠仁の傷と同じ形の黒い文様が浮かび上がり、一歩踏み出すたびに地面が泥となって溶けていく。
『……5匹』
低い声が空気を揺らす。整った口元が、無邪気な子供の笑みのように横に裂けた。
その笑顔に寒気が走る。まるで背中に銃口を突きつけられているような気分だ。
【ｃｘ9@、ｇｊｗ4ｚｋ。ｐ４５いｘｋ・ｇｇ０ｗ４いｘｇ；・！】
恐れをなした呪霊共が一斉に襲い掛かった。口を開け、爪を振り翳し、目の前のプレッシャーに向かって飛び掛っていく。
その全てが、泥から飛び出した黒い蝶によって押し流された。
洪水のように押し寄せる蝶の群れが呪霊を飲み込んでいく。蝶に触れた呪霊の身体は同じ黒い泥になり、新たな蝶となって襲いかかる。
「(凄いね、こりゃ)」
コトリバコというより、これは…呪いの集合体だ。コトリバコの術式を元にして生まれた呪霊の複合体のように見える。
「(それに、足りなかった呪力を呪霊を吸収することで補った。他の呪いを喰らうなんて、悠仁より悪食だよ)」
『終わりました』
途端にプレッシャーが小さく収まり、実の目元の文様も透けるように消えていく。そして元の目に戻った紫の瞳が、僕に向けられた。
『とりあえず、第一関門クリアですか？』
「…文句なしの合格かな」
笑って告げる実の頭を、僕は優しく撫でた。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます！一気に読んで頂けるとは…！とても嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年1月24日 21時) (
レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして！主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました！応援してます、更新頑張ってください！ (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…！今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性？とか話の進み方とかすっごく好みです！更新がんばってください！ (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2021年1月21日 17時
