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捌拾玖:しっかりと話を聞こう ページ43

実side

鳥の囀りが聞こえる。瞼に差し込む朝日が眩しくて、俺はベッドの中でもぞりと動いた。
…いい匂いがする。トタトタと床を誰かが歩く音が聞こえる。暫くぐずっていると、俺の肩に手を置いて誰かが俺を揺すった。

「榎森起きろ、朝だぞ」

低い声だ。伏黒の声。……伏黒の、声?
ぼんやりしていた意識がはっきりとする。まだ少し眠気が残る目を開けて声のした方を向けば、そこには元の姿に戻った伏黒が立っていた。

「おはよう。悪ぃ、服借りてるぞ」
『……おう…元に戻ったのか』
「嗚呼。今虎杖が飯作ってるから、先に顔洗っとけ」

微笑む伏黒に頷いて、ベッドから抜け出す。玄関の隣にあるキッチンから「おはよー榎森!」と元気よく挨拶をする虎杖にも『おはよ…』と返事を返し、顔を洗いに向かう。
先生の言ったとおり、一日で解呪されたな……。もう少し子供体温味わいたかったが、まぁ戻ってくれて何よりだ。
バシャバシャと顔を洗い、タオルで顔を拭く。軽く口を濯いでから部屋に戻ると、机の上には三人分の朝食が乗っていた。

「榎森まだ眠そうだけど、大丈夫か?」
『問題無い。時間が経てば起きる』
「無理すんなよ」

会話を交えて座り、手を合わせて朝食を頂く。目玉焼きとウインナー、パン一枚というありふれた食事だが、これが結構美味いんだよな。

「……なぁ榎森」

パンを食べていると、不意に伏黒が声をかけてきた。

『ん?』
「昨日話した事、覚えてるか?」

昨日……

『憶えてるのか?』
「嗚呼。虎杖も憶えてる」

伏黒の言葉に、ちょっと顔を赤くしながら「風呂もばっちり…」と虎杖は小声で呟いた。

「でさ、その…言っちゃっただろ?俺達。お前が好きって…」
『嗚呼、言われたな。そう言えば、その話は本当なのか?』
「う、嘘じゃねぇ!…あ」

虎杖はいつも正直だな。途端に真っ赤になる虎杖に思わず笑っちまうと、「わ、笑うなよ!」とプンスカ怒られた。

「俺も虎杖も、お前が好きなんだ。その、恋愛的な、意味で…」

少し照れながら伏黒が呟く。俺は静かに話を聞きながら、改めてこう告げた。

『お前らの気持ちは分かった。でも俺は二人の中から一人を選ばなきゃいけねぇし、昨日も言ったが二人共好きだ。だから少し、時間をくれ。しっかりと心を決めたい』
「そうか…、お前がそう言うなら」
「ん!どっちを選んでも恨みっこ無しだもんな!」

頷く二人に、少し安堵する。俺の所為で二人が仲悪くなるのは嫌だからな。

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設定タグ:呪術廻戦 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時

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