漆拾:生誕式 ページ24
五条side
「いやぁ頑丈だねお前。いや、頑丈って感じじゃないんだよなぁ。…何したか教えてくれないかな?実」
煙の中の影に声を投げかけると、ソイツはクスクスと馬鹿にするような笑いを零した。
『そんな事どうでもいいだろう?呪術師』
真っ黒な泥の塊が溶けていく。球体だった泥の塊から、白目が黒く濁った赤色の目が露になった。
「随分と様変わりしちゃって…いろんなヤツの呪力混じってるね、お前」
まずいな、本格的に受肉体として覚醒したか……
顔は悠仁のものから恵のものになっていて、あんなに綺麗だった紫の瞳は赤く染まり、真っ黒な白目の中に浮かんで不気味に輝いている。鍛え抜かれた上半身は指貫篭手を残して全てが露になっていて、下は黒いボンタンと素足に草履履いた姿。
言うなら昔の侍みたいな格好。似合っちゃうのが格好いいよなぁ…って思ってる暇無いや。
「(呪力見るからに6割コトリバコ、3割宿儺、残りの1割が実って感じだな…)」
コトリバコ主体で話してはいるけど、僕のことを"先生"と言う辺り実の記憶もちゃんとあると見た。宿儺の呪力がコトリバコと実の呪力をいい具合に混ぜたみたいだな。
『そう眺めるな。貴様の視線は気に障る』
「いいじゃない別に。で?お前は一体"誰"なのかな?」
僕の問いに彼は静かに微笑した。ゾッとするほど綺麗な微笑だ。
『さてなぁ?少なくとも、貴様の好く
「あっそ。つまり今は…コトリバコか」
僕の返答に笑みが深くなる。嫌な笑顔だ。
「だったら、容赦はしない」
指先に"赫"を発現させる。緊迫した空気が場を支配し始めても、コトリバコはずっとニヤニヤと笑ったままだ。
『吼えるな小僧。耳障りで不愉快だ』
それはこっちの台詞だ。
「"赫"」
ピンッと弾く。途端に真っ赤な閃光が爆発したように範囲を急速に広げてコトリバコ目掛けて放たれた。
地面を消し飛ばし、木々が風圧で揺れる中、
『おぉ、怖い』
コトリバコだけが、クスクスと笑いながら立っていた。
199人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時