赤色に染まる白の君《3》 (ページ1)

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♡寝静まった夜の出来事ページ1

エースside

事の経緯を話そう。僕達メンズリクルーターは、ハイタワーの魔法の不調で全員体が入れ替わってしまった。魔法が暴走したりハプニングはあったけど、何とか各々魔法の質も分かって何とか活動できるまで落ち着くことが出来たんだ。
そんな夜、僕はジャックから送られた携帯のメッセージを見て彼の部屋に来ていた。「"僕の部屋に何か居る"」、そんなメッセージを発信した彼の部屋からは酷い異臭が漂っていた。

そして彼を窓から部屋の外に出そうとした瞬間、カチャッ…とドアの鍵が開く音がしたんだ。

「っ！」

咄嗟に窓からジャックを連れて飛び落ちる。ヒュウゥッと風を切って落ちる中、マルフィの真っ黒な翼を広げるとグンッと体が上へ引っ張られて、そのまま翼を打ち付けるように動かすと一気に上へ上昇する。凄い、この翼力強い…！

「エ、エース！落ちる…っ！」
「ごめん、急なことだったから…っ」

両手でしっかりとジャックを抱え直した時、ジャックの部屋から物凄い異臭と気配を感じ取った。ゾクッと身震いするような悪寒と羽根の一枚一枚がざわつくようなプレッシャーに、思わず息を呑んだ。
ジャックの部屋の中は真っ暗だ。電気が消えたわけじゃない、真っ黒の何かが部屋を覆ったかのように真っ黒に染まっている。家具の輪郭すら確認できないその中で、何かが動いた気配がした。
瞬間、部屋の中から無数の触手のようなものが僕達に向かって飛び出してきた。

「やっば…っ！？」

高速で飛来する触手を躱して翼を押し上げて飛び上がる。人一人持っても素早く飛べるマルフィは凄い。流石は眠れる森の鴉なんて感心しながら、僕はアップルの部屋の窓まで一気に飛んだ。

「ジャック、アレ何！？」
「僕だってあんなはちゃめちゃなヤツ知らないよ！」

後ろを見ればまだ窓からうねうねと蠢く触手が見えるし、あと臭いし！本当に何！？ワンダーランドにも居ないよあんなの！
アップルの部屋の窓に足をかけた途端、ジャッとカーテンが開いてアップルが窓を開けてくれた。

『メッセージを見た。何があったんだ二人共』
「っいや、僕にもよく分かんない…。でもなんかやばいのが居る」

ジャックを先に降ろして部屋の中に入ると、僕は翼を魔法で消して窓を閉めた。とりあえず安心かな。
此処からどうしようか。まずは皆に連絡したほうが良いよね。…ジョー、起きてるかな。