♡懐かしくて新鮮な思い出だ ページ36
エースside
ハニーハントで蜂蜜砲を受けて、マウンテンシリーズで絶叫して、色んな風景を眺めながらチュロスやポップコーンを食べつつ歩いて、お揃いのカチューシャを買ったりして、
『(嗚呼、人間ってこんなに楽しいんだ!)』
パークの中だけの暮らし。それでもこんなに楽しい思いが出来るなんて、やっぱり夢の国って名乗るだけはある。まぁ僕の世界の方がもっと楽しいけど!
「あはは!似合ってるよ毒林檎!」
「何故私が女子の方を付けないといけないんだ…」
『でも可愛いよアップル』
ジャックはドナルド、僕はミッキー、アップルはミニーのカチューシャを付けて各々食べ物や飲み物を手に歩いていく。サクサクしたチュロスを頬張ると、柔らかくてほんのり甘い味が広がった。ん〜、美味しい!
「そう言えば林檎の世界のアトラクションがあったよね?折角だから乗りに「行かない」何でぇ〜?」
「あの小娘の顔を見るだけで殺したくなるからだ」
『流石毒林檎、殺意がマシマシだね』
じゃあアリスのティーパーティーでも乗ろうかなぁ。あれ楽しいんだよね。アリスの世界がちゃんと反映されてて、眠りネズミも居て…
「"お前ほんとアリス好きだよなー?"」
……あれ。そう言えば前、乗ったことあるような気がする。恋人じゃないけど、仲がいい友達と、確か随分前に…
周りの音が小さくなる。視線の先に見えたティーカップを見たら、僕の目には"過去の思い出"が映って見えた。
『"おまっ、お前!そんな早く回すなよ!"』
「"あ゛ー!やばいっ!____、止めてくれ!"」
『"何で俺が止めなきゃいけないんだよっ!"』
ぐるぐる回る。世界が回る。あの時僕と一緒に乗ってた彼は誰だっけ?思い出せない。とても大切な人だった気がする。…そうだ、彼は…"俺"の……
「エース」
肩を叩かれてビクッとする。「どうしたの?」と顔を覗き込むジャックが見えて、僕は数回瞬きした後『何でもない』って笑った。
「ティーカップ乗りたいの?」
『うん。だって僕達の世界のアトラクションだよ!?』
「なら乗りに行ってみるか」
『やったー!』
甘い林檎のような薔薇の香りが漂う中、二人の手を引いて僕はティーカップの方へ走って行った。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月20日 0時