♡寝付けない夜中の告白 ページ27
エースside
ジョーのところに入り浸ってたらもう深夜になっちゃった…。流石に夜中までお邪魔できないから食堂に来ちゃったけど、おなか空いてないしなぁ……
『(なんかいつもよりがらんとしてるな…)』
食堂は男女共有だけどこんな時間に食べに来る人も居なくて、開け放たれたカーテンの外に広がる夜の景色を見ながら、僕はちょっとだけ寒さを感じて腕を擦った。
誰も居ない。時計の音だけが聞こえる空間。嗚呼、何だか机の上に置かれたトランプに戻った気分だ。寒さも何も感じない体、勿論感情なんて無くて、ただ遊びで使われるだけの紙切れ…
『……』
何だろう、胸が重くなった気がする。何故なのかは分からないけど、きっとこれはいい感情じゃない。
「眠れないのか」
後ろから聞こえた声に振り返ると、僕の肩に真っ黒なロングコートがかかった。
『アップル…』
「今日は帰りが遅かったから心配したぞ」
『ごめん。ちょっとレディたちに遊ばれちゃってね』
コート、温かい。さっきまで着てたのかな。夜冷え込むようになったもんね。
「何か飲むか？」って聞いてきたアップルに『何でもいい』って言ったら、アップルは微笑んでキッチンに行っちゃった。冷蔵庫を開ける音がして、甘くて良い匂いがしてくる。
「あ、エース。こんな所に居たんだ」
『ジャック…』
「あー、毒林檎も一緒なんだ」
何でジャックも…、寝れないのかな…？
「部屋に居ないから様子見に来たんだよ。おつかいの後から見てなかったし」
『あ…ごめん』
「ああ居たんですかちびトランプ。貴方の分はありませんよ」
「いいよーだ。ちょっとお喋りしに来ただけだし」
べっと舌を出して挑発するジャックに、アップルは呆れたように溜息をついて僕の前にホットミルクを出してくれた。二人共僕の隣に座ると、アップルが「気をつけて飲むんだぞ」って優しく言ってくれた。
『…美味しい』
これ蜂蜜入ってる。夜中に甘いものなんてヴィラン〜…、なんちゃって。
「で、どうして此処に居るの？二人共寝れないカンジ？」
「私は部屋に戻る途中で見かけたから此処に来たまでだ。女王様に呼び出されていたからな」
「ふぅん…。エースは？」
『ジョーの部屋でお話してたらこんな時間になっちゃって…眠くないから此処に居た』
…こうして3人だけで集まるの、何か新鮮。しかもあんまり喧嘩腰じゃないし…、……あ、そうだ。
『あのさ、二人に話したいことがあるんだ』
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2022年10月20日 0時
