赤色に染まる白の君《2》 (ページ18)

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♡らしくないなぁページ18

エースside

アップルの部屋の前まで来たは良いけど…なんて声をかければ良いんだろう？
アップルの部屋は廊下の奥だ。少しだけ薄暗い廊下に立ち尽くしながら目の前のドアノブに手をかけて、ちょっとだけ言葉を考える。

『(大丈夫？…は大丈夫じゃないのにかけてもなぁ…。…第一、素直にドアを開けてくれるのかな…)』

あんなに落ち込んだアップルなんて見たこと無い。自分の威厳にかかわるーとか、一人にさせてくれーとか言われて部屋に帰されそうだな…。……。

『よし』

ドアノブから手を離して、僕は少しだけドアから離れる。右手を前に翳して目を閉じてから、目の前にドアを作るイメージを思い浮かべた。
ドンッと床に衝撃が走る。目を開けると、そこには仕事の時に出したハートのドアが出来ていた。

『失礼しまーす』

正面から無理なら別の所から入っちゃえってね！
ドアを開けて中に入ると、部屋の中は真っ暗だった。ベッドと机とカーテンが閉められた窓と…あ、居た。

「っ！？エース、何故部屋に…！？」
『いや、大丈夫かなーと思ってさ。でもアップル絶対ドア開けてくれなさそうだから、勝手に入っちゃった』

部屋の中に入ってドアを消すと、ベッド脇に座り込んでいたアップルは僕から顔を背けた。凄い苦しそうな顔してる…やっぱり相当ショックだったんだな……

「…さっきも言ったが、一人にさせてくれ。…合わせる顔が無い」
『嫌だね。それよりお腹減ったからなにか作ってよ』

隣に座るとアップルはまた床に視線を落とす。そんなに見つめてたら床に穴が空いちゃうよ。

「…嫌じゃなかったのか」
『ん？』

小さな声が聞こえた。アップルの方を見ると、アップルは床を見たまままた小さな声を漏らした。

「お前は、嫌じゃなかったのか。私ではない者に触れられるのは…」
『そりゃあ嫌だし正直くたばれって思ったよ。でもキスぐらいで死ぬことはないし、僕物理的に死なないし、そういう意味では大丈夫だった』
「…そういうことじゃなくてだな…」
『分かってるって！……嫌だったけど、何でかな。アップルの顔してたから…』

そう言うと、アップルは僕の腕を掴んできた。驚いてアップルを見ると何だか怒ってる顔で…

「…私なら何でも良いのか」

赤黒い瞳が光ってる。掴まれた手に力が籠もるのを感じながら、僕はちょっとだけ口角を上げた。

『今のへなちょこアップルよりはマーシ』

笑ってやる。そうしたら目の色が変わって…
僕は床に押し倒された。