❤とっても楽しい夢の世界 ページ10
ジャックside
「やぁ僕のアリス!今日も来てくれたんだね!」
今日も彼は僕の所に来てくれた!それだけで僕は飛び上がりそうなほど嬉しくなる。
彼と夢を通してワンダーランドで遊び始めてから一週間と少し経った。いや、現実世界だと一週間と少しだけど、この世界じゃ時間なんて分からない。もしかしたらこっちの世界の方がながーく時間が経ってるかもしれないね!
『今日はお茶会か?』
「うん!君の為に特別綺麗なカップとソーサーを用意したんだ!お口に合えば良いんだけど…」
『……食べてみてからのお楽しみだな』
「!うんっ、うん!どんな味かお楽しみだよ!」
クスクス笑ってお茶の席へ。楽しく歌って揺れるパンジーの花に囲まれながらのお茶会は格別だ!紅茶を注いで砂糖をたくさん、山のように入れてさぁどうぞ!彼に渡せば少し困った笑顔で飲んでくれる。嗚呼、砂糖の白いおヒゲが出来ちゃった!
『おヒゲの生えた君も素敵だねアリス!ふふ、今日は楽しい日になりそうだ!あぁ、でも一通り楽しんだら薔薇を塗らなきゃ』
「?此処には俺とお前しか居ないんじゃないのか?」
『確かに此処は君と僕のワンダーランドさ。でも僕のワンダーランドってことは、僕の世界も反映されている。女王様が居なくてもしっかり予定をこなさないと首を刎ねられちゃうんだ!さぁ急いで食べて急いで飲まなきゃ!赤いペンキを持って薔薇を塗りに行かないとね!』
たっぷりバターとジャムを塗って食べるソーサーは格別!彼も習って恐る恐る食べている。一口食べれば不思議な味に目を輝かせて、その顔はまるで小さな男の子だ。
紅茶の味もへんてこ不思議でいつも通りの美味しさ!ピンク色のハリネズミが足元を通ったら、さぁ仕事の時間だ!
「こっちだよアリス、こっちの薔薇を塗っていくんだ。丁寧に丁寧に、花弁の一枚一枚しっかりと素早くね」
幅広の筆を手に白い薔薇の木を指させば、彼は『分かった』と頷いて薔薇を塗り始める。
べちゃりとペンキの音がして赤色を滴らせながら真っ赤に染まっていく。一枚一枚丁寧に塗られていく薔薇を見ると、何でこの子は人間なんだろうなーって思うんだ。
こんなに綺麗に薔薇を塗れるなら、同じトランプ兵にでもなればいいのに。女王様だって兵隊が増えて喜ぶはずさ。それに仕事だってできる。こんなにいい人材は無い。
あの出来損ないより、とってもいい子になれる。
『こんな感じか?』
塗られた薔薇は真っ赤に咲いていて。僕は笑って彼の頭を撫でた。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時