❤招待状をどうぞ ページ5
ジョンside
アパートに帰って夕食も風呂も済ませた後、机の前に座ってリュックの中にあった手紙を取り出して眺めていた。
学校では変な体験をした。もしかしたら、また手紙を見たら…。そんな好奇心があったから、また手紙を抜き取って眺めている。
折り畳まれていれば眺める分には問題ないみたいだな。問題は…開けた時か。
『(またあの人影にだけは会いませんように……!)』
そう願いながら勢いよく手紙を開く。反射的に目を瞑るが、体の異変は何もない。
……恐る恐る目を開くと、いつもの自分の部屋が見えた。
『……何も、起こってない…』
手紙は白紙だった。文字も何も書いてない。炙り出しかと思って炙っても見たが、燃えるだけで文字なんて出てこなかった。あの薔薇の匂いもしない。
『…夢、だったのか?』
それにしても…と考える。夢にしては状況があまりにもおかしすぎる。第一あの時俺はちゃんと起きていたし、その後も勝手に下校していたりとおかしいところ尽くしだ。
それに白紙の手紙って…嫌がらせか?嫌がらせなのか?
『…訳わかんないな…』
ため息を着いてベッドに寝転がる。明かりを消して目を閉じて、さっきまで考えていたことを全てシャットアウトするように思考を停止した。
気がつくと、俺は庭の真ん中に立っていた。
突然のことに驚いて周囲を見渡す。ハート型の薔薇の木にあべこべで曲がりまくった道、その先にそびえる巨大なハートの城。
『…これって』
不思議の国のアリスだ。まるでその中に出てくる、"ハートの女王"の城じゃないか。
「やぁ!久しぶり!」
背後からかけられた声に驚いて振り返る。白と黒の服に赤いハートのボタンが目に入り、顔へと視線が動いた瞬間、俺は言葉を失った。
「僕のこと、覚えてる?」
……俺だ。そこには俺にそっくりの顔をした男が立っていた。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時