❤こんな驚き初めてだ! ページ11
ジョンside
薔薇を塗る仕事を始めてから何時間経ったか…結構な数の薔薇を塗り潰せたと思うんだが、流石に疲れてその場に座り込んだ。
ジャックはこれよりもっと多い薔薇の木を塗ってるんだよな。女王の国って結構なハードワークなんだな…小さい頃は思いもしなかった。
「やぁ!作業は進んでるかい!?」
『うわっ!?』
突然後ろから抱きつかれて思わず声を上げると、視界の右側に癖っ毛気味な焦げ茶の髪が見えた。
『お、驚かさないでくれよ…』
「あはは!君がそこに居たからついね!」
楽しげに笑うジャックはそのまま俺の体に腕を回して抱き締めてきた。服越しに伝わる体温が背中に染みて、夢じゃなくて本当にそこに居るような気になってくる。
「僕もちょっと疲れちゃった。だから少しだけ休憩しようかな」
『俺を抱き枕にしなくても…』
「そんな事言わないでよ〜!僕は君で休憩したいの!」
『どういう意味だそれ…』
いや、俺と同じ顔の男に抱きつかれるっていうのも不思議体験、だよな。滅多に無いことか。
隣に居るジャックを見ると、ハートマークがついた帽子と俺と同じ髪色の髪が見えた。顔は俺の肩に額をつけているからか見えない。
『……』
ちょっとだけ、悪戯心が湧いた。
『えい!』
「!?え、何!?」
俺はジャックの帽子を取った。驚いて顔を上げたジャックが俺の方を見ると、帽子に気づいたのか「あ!」と声を上げた。
「僕の帽子!こら、返して!」
『やなこった。…というかお前、本当に目赤いんだな』
「え?」
会う時帽子の下から覗く目は何度か見ていたけれど、こうして明るい所で見るのは初めてだった。
光の加減なんかじゃない、俺と同じ顔なのに目の色だけ真反対のような真っ赤な瞳が俺を見ていた。目元のハートマークと同じぐらい赤い瞳。そう言えばハートとダイヤのトランプ兵は赤かったな。
『いきなり取って悪かったよ。顔見たかっただけなんだ』
そう言って帽子を頭に乗せてやると、ジャックは突然顔を赤くして俺を強く抱きしめてきた。
『ちょっ、だから悪かったって!』
「もうっ、君はなんて可愛いんだ!」
『は!?』
かわっ、可愛い!?何でそうなる!?
否定する俺をよそに、ジャックは俺を抱きしめたまま暫く「可愛い」を連呼して離してくれなかった。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時