第一幕 -炎帝祭- ページ9
旅人side
燃え盛る炎が、俺達の前に立ち塞がるようだった。
「わぁ……!」
倚岩殿に来た俺達の前に現れたのは、天を衝くかのようにそびえ立つ巨大な香炉だった。
煌々と燃え盛る炎が辺りに光をばら撒いている。それは火の粉というより、赤い宝石の欠片みたいだった。
「綺麗……」
これが炎帝の残した火種……。当日はこれがもっと大きく燃えるのか……。
「あら、旅人にパイモンじゃない」
炎に魅入っていた俺の耳に飛び込んできた声は、聞き覚えのある懐かしい声だった。
「久しぶり凝光さん…!」
「元気にしてたか?」
「勿論。二人こそ元気そうで何よりだわ」
静かに微笑む彼女は前会った時とちっとも変わらない。いつも思うけど、彼女を前にすると自然と背筋が伸びる気がする。
それはきっと彼女が璃月において最も重要な立場に居るからだろう。本来だったら俺達みたいな旅人なんて、気軽に声すらかけられないような相手だ。
「貴方達も炎帝祭のことを聞いてやって来たのかしら?」
「オイラ達は偶然来たんだ!それでさっき鍾離と出会って、炎帝祭について詳しく聞いてきたんだぞ!」
「あら、そうだったのね。貴方達はとても幸運……と言いたいところだけれど、今年の炎帝祭は思うように進むか怪しいのよ」
彼女は困ったように溜息をついた。凝光さんの耳にも盗難事件の話は入ってるみたいだ。
「万華創花を盗まれたって話だよね?」
「えぇそうよ。もしかしてそれも鍾離さんから?」
「うん。万華創花が無いから別のお香を作るって聞いた。それで俺達、犯人探しを手伝えないかと思って……」
彼女に一通りの経緯を説明すると、凝光さんは暫く考えてから微笑んだ。
「分かったわ。貴方達に犯人探しを任せましょう」
「良いのか!?」
「えぇ。それに私としても万華創花を盗んだ罪人をどう捕まえようか悩んでいたの。炎帝祭の準備や璃月港の警備強化で人手が足りなかったから、貴方達が代わりに捕まえてくれるなら助かるわ」
良かった。凝光さんの許可が得られたなら遠慮なく犯人探しができる。
「炎帝祭の準備については此方でしっかりと進めていくわ。貴方達も参加するとなったら、一層盛り上げないといけないわね」
「オイラは美味しいものを沢山食べたいぞ!屋台巡りをして食べ歩いて、その後お腹いっぱいのままベッドで寝れれば〜……」
……?どうしたのパイモン。突然固まったけど……。
「旅人、オイラ達……宿、取ってなくないか…?」

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九龍(プロフ) - 美蕾さん» コメントありがとうございます!無理しない程度に頑張ります! (7月25日 15時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
美蕾(プロフ) - 続きがぁ気になる…此れからも更新頑張ってください (7月22日 8時) (レス) @page35 id: a80e3e86a4 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» ありがとうございます!更新は遅くなると思いますが頑張らせて頂きます! (2023年12月11日 2時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - わぁーー璃月きましたか!!めっちゃ待ってました!楽しみです!!これからも頑張って下さい!! (2023年12月10日 15時) (レス) @page4 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年11月26日 14時