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第三幕 -炎帝を追う- ページ46

鍾離side

空はゆっくりと暗くなっていく。近くの切り株に腰掛け、夕暮れに染まる空を背に食事の用意をする旅人を眺めていると、「ねぇ先生」と不意に旅人が話しかけてきた。

「如何した?」
「少し前にさ、先生は"炎帝の伝説はあまり残ってない"って言ってたよね?じゃあ逆に少しだけ残ってる伝説ってどんなものなの?」

ほぅ、また新たな切り口の質問だな。世に残っている彼奴の伝説は一体どういうものなのか、か……。

「そうだな……有名なものは絵本だろうか」
「絵本?」
「岩王帝君とたった一人の友の事を綴ったものだ。俺の知る限り、その絵本が一番史実に近いと踏んでいる」
「へぇ……。どういう内容なの?」
「俺と彼奴がどうやって出会い、そして別れたのかを描いたものだ。折角だ、二人が戻るまで話してやろう」

それは岩王帝君が生まれた時の話だ。岩の神が生まれた時から始まる物語は、子供でも知っている有名なもの。


嘗て、岩の魔神が人の心を学ぶ為にとある人形を造った。自分の血肉である岩と溶岩で器を作り、自分の魂と神性を分け与えた人形だ。
その人形は動き出すと、岩の神に多くの物事を教えた。その人形は岩の神の子であると同時に師でもあり、兄弟でもあり、そして唯一の友となった。

慈愛の神、フォルファクス。武神と謳われたモラクスが振るう槍でもあり、炎熱を用いて民を守り通した炎帝。
その熱は民に幸福をもたらし、厄災を打ち払い、多くの生命をその手で守り続けた。

だがある日、炎帝は摩耗に蝕まれた。記憶は失われていき、苦痛と共に精神が蝕まれ、その果てに人形は狂ってしまった。
そして共に守ろうと誓った国を、璃月を攻撃した。地表を覆い尽くさんとする溶岩と共に。


「それで、炎帝はどうなったの……?」
「岩神モラクスとの死闘の末、炎帝フォルファクスは心臓を突かれて息絶えた。愛する神の腕の中で安らかな眠りに就いた炎帝を、岩神は伏龍の木の下に埋葬し、岩の楔を立てて祀った事になっている」

話し終えると、旅人は暗い顔で俯いた。絵本にしては物悲しい話ではあるが、これは実際に起こった事だ。

「だが実を言うと、この話の最後だけは史実と違っているんだ。実は__」


「旅人ー!薪持ってきたぞー!」
「ごめん、つい夢中になって遅れちゃったね」

おっと、二人が帰ってきたな。
この話の続きは、また後で語るとしよう。

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九龍(プロフ) - 美蕾さん» コメントありがとうございます!無理しない程度に頑張ります! (7月25日 15時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
美蕾(プロフ) - 続きがぁ気になる…此れからも更新頑張ってください (7月22日 8時) (レス) @page35 id: a80e3e86a4 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» ありがとうございます!更新は遅くなると思いますが頑張らせて頂きます! (2023年12月11日 2時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - わぁーー璃月きましたか!!めっちゃ待ってました!楽しみです!!これからも頑張って下さい!! (2023年12月10日 15時) (レス) @page4 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年11月26日 14時

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