第三幕 -炎帝を追う- ページ45
旅人side
璃月港から琥牢山までは距離がある。俺達はタルタリヤの元に来るファデュイの情報網から炎帝の動向を探りつつ、琥牢山の麓へと歩き続けていた。
璃月港を出て2日目。炎帝の目撃情報は入っていない。何処かに潜んでいるのかもしれないと思いながらも、長閑な璃月の自然の中を歩き続けていた。
「へぇ、じゃあ当時はフォルファクスの方が鍾離みたいな性格だったんだな!」
「あぁ。彼奴は俺よりも穏やかで自愛に満ちた神だった。当時の俺は戦争時と言う事もあって気を張りすぎていてな……思えばもう少し肩の力を抜くべきだったな」
「鍾離先生からそんな話を聞くなんて新鮮だな。ねぇ先生、炎帝ってその時から強かったのかい?」
「強かったぞ。何せ俺の一番の槍だ、並大抵の魔物など軽々と焼き尽くしていたな」
タルタリヤとパイモンの質問に、鍾離先生は嫌な顔一つせず答えていく。
俺も今日野宿する場所を探しながら、三人の話を聞いていた。
「(鍾離先生、楽しそうだな……)」
この2日間、ずっと炎帝の話をしてる気がする。でも彼は訊かれる事がとても嬉しいと言うように、嬉々として炎帝の話をしていた。
きっととても仲が良かったんだろうな。炎帝祭の時も楽しそうだったし、鍾離先生にとって炎帝は特別な神様なんだろう。
「……」
これで良かったのかな。鍾離先生を今の炎帝と会わせるのは、酷い事なんじゃないかな。
だって今の炎帝は摩耗で狂ってしまっていて、もしかしたら鍾離先生の事も……。
「旅人」
「……!な、何……?」
「今日はここまでにしよう。日が傾いてきた」
あ……本当だ。すっかり夕方だ……。
「向こうの平野の方でテントを張ろう。タルタリヤとパイモンは薪を取ってきてくれる?」
「分かったぞ!」
「じゃあどっちが多く薪を集められるか勝負といこう!」
「えぇ!?また勝負かよ!」
二人が薪を取りに向かうのを見届けた後、俺はバッグから携帯式のテントを取り出して、鍾離先生の手も借りながらテントを設置した。
「……ねぇ先生」
「何だ?」
「ちょっと気になる事があるんだけど……」
テントを張り終えた後、俺は携帯用の鍋を取り出しながら、近くに座る先生の方を見た。
「俺達が声をかけるまで、炎帝祭の犯人が炎帝だって知らなかったの?」
「あぁ」
「本当に?」
「本当だ」
……そっか……。
「(……何か、おかしい気がする)」
この違和感は……一体何なのだろう……?

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九龍(プロフ) - 美蕾さん» コメントありがとうございます!無理しない程度に頑張ります! (7月25日 15時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
美蕾(プロフ) - 続きがぁ気になる…此れからも更新頑張ってください (7月22日 8時) (レス) @page35 id: a80e3e86a4 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» ありがとうございます!更新は遅くなると思いますが頑張らせて頂きます! (2023年12月11日 2時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - わぁーー璃月きましたか!!めっちゃ待ってました!楽しみです!!これからも頑張って下さい!! (2023年12月10日 15時) (レス) @page4 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年11月26日 14時