参拾伍:覚醒の度合い ページ36
五条side
「うっわ、痛そ…」
野薔薇の"簪"で天井が崩落したよ…。完全に下敷きだなこりゃ。
「やったか…!?」
「まだよ。こんぐらいでへばってたら器なんてやれないでしょ」
野薔薇の言うとおりだ。現に僕の目にはまだ実の呪力が視認できている。
その二つの呪力のうち、赤い方が大きくなったもの。
『"撥"』
勢い良く瓦礫が吹き飛ぶ。ガラガラと音を立てて瓦礫が振り落ちる中、自分の制服についた汚れを払いながら涼しい顔をした実が出てきた。
「うげっ、元気じゃん!」
『当たり前だ。このぐらいでへばるかよ』
いやぁ、本当に化けモンだね。
「(生力創術…確か呪力のコントロール方法みたいなものだったかな)」
彼の持つ術式はあの特徴的な目の術式のみだ。だけどコトリバコの受肉体になった事により、彼にはコトリバコの術式も付与されている。
僕が拾った時はまだ瞳の術式しか無かった筈だ。それなのにコントロール方とはいえ呪力の精密な調整を必要とする生力創術を習得しているなんて……これは思わぬ誤算だった。
呪力を己の肉体または呪具に集約してぶつける事で、攻撃と共に爆発を生み出す"撥"と、呪力による流動する薄い膜を生み出すことで攻撃を受け流す”纏”の2種類を使い分けて戦う。
「(シンプルだが強い。それにコトリバコの術式が混ざると、どんな能力に変化するのか…)」
実は気づいてないだろうけど、コトリバコの術式を使える時点で半分同化してるようなもんなんだよね。
それでもちゃんと自我を持って行動できてるってことは、悠仁と同じくコトリバコを抑える力があるってことだ。
このままコトリバコの意識と統合しても、実の意識が消える可能性はかなり低い。寧ろコトリバコを喰って逆に支配するかもしれない可能性がある。
そうなってくれれば僕としては万々歳だ。任せたいこともあるしね。
「もっとやっちゃっていいよー!死なない程度にね!ダッツ追加してあげるからさ!」
『え』
「よし殺す」
『ちょっ』
「悪い実、犠牲になってくれ!」
『は!?』
「……喰っていいぞ」
『伏黒まで…!?』
よしよし、焚きつけはこれでいいっと…あとは、
「(コトリバコをどうやって引き出すか、だな)」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月12日 16時