🖤珍しいこともあるものだね ページ4
エースside
ジャックと一緒に薔薇を塗り終えて、渋々お風呂に一緒に入ってからハイタワーに来た僕は、ジャックと別れた後すぐにジョーから声をかけられていた。
『マルフィが来てない?』
「あぁ。アイツ、いつも一番に居るはずなのに部屋にも居ねぇんだよ。俺は昨日4時まで起きてたが…その時までは部屋にアイツの気配がしたから、きっと俺が寝て以降どっか行っちまったと思うんだけどよぉ」
そう言って頭を掻くジョーは「面倒な事になってねぇと良いんだけどなぁ」なんて呟く。マルフィが居ない、か……。…ちょっと心配だな。
「お前見てねぇか?ほら、眠り関連で仲良いだろ?」
『まぁ仲は良いけど、僕も知らないよ。それにマルフィの夢の絵画も展示されてなかったし』
女王陛下に許された者しか入れない画廊には、様々な人物の夢が見れる絵画が飾ってある。その中にはこのハイタワーに居るメンツの夢の絵画も出てくるけれど、昨日は全く見かけなかった。寝ないと飾られない画廊に絵が無いということは、マルフィは丸一日寝ずに何処かに行ったってことだ。
『…今日僕は予定が無いから連絡してみるよ。何かあったら伝えるね』
「おう。他のやつも心配してるから任せたぞ」
頷いて僕は自分の部屋に戻る。マルフィから貰った羽根ペンを指先で回しながら、僕はちょっとだけ考えた。
何でマルフィが居ないのか。部屋にもどこにも居ないならきっと外出しているか、主人の元に戻ってるかの二択だろう。僕みたいに頻繁に元の世界に戻らないマルフィは、たまに魔力の補充のために元の世界に帰ることがある。でもそれは食事や休息でも魔力が補えない非常時の時だけだ。僕だって彼が不在な時は体験してるけど、せいぜい1〜2回程度。しかもちゃんと「"マレフィセント様の所に行っています"」なんて紙が部屋に置かれていたから、不在の理由も納得できた。
『でも今回は違うよなぁ……』
突然の不在だ。現代の扉はマルフィが出ていった記録を残していないとジョーから聞いてるし、だとしたらやっぱり主人の元に戻った?でも何で?
『……確かめてみるか』
彼は僕の友達だ。色々煩かったりするけど、ジャックやアップルとはまた別の意味で好きなやつなんだ。彼に何かあったら、僕はこの体が裂けるんじゃないかと思うほど辛くなる。
確かめる方法はある。僕は羽根ペンを置いて、机にたてかけてあるハートの鏡を手に取った。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月31日 1時