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1.君に出会った日 ページ3

六年生になって最初の実習は、
とある城への潜入忍務だった。
それは、姫様や女中さんから情報を聞き出す忍務。

私は今、得意の男装で難なく聞き込みを進めている。

...。みんなちょろすぎる。

世の女性たちは美丈夫にはこんなにも簡単に情報を
話してしまうものなのか。

ちょろい、というかなんというかとても心配だ。

あの女中の菊子ちゃんなんかは、
私が手を握っただけでころりと口を割ってしまったし..。

いくら敵とはいえ、心配にもなるし、
情けをかけてもいいだろう。

だって女の子だ。

この世の何よりもかわいい女の子だもの...。

「ちょっと。華。かわいい女中さんや姫様と話せて幸せなのは分かるけれど、今は忍務中よ。ぼーっとしてないで早く聞きこみに行きなさいよ。」

おっと、同じクラスの友達に怒られてしまった...。

というかその女好きみたいな言い草はやめて欲しい。


『女中姿も似合って「はいはい。ありがとう。早く行って。」

『そんな邪険に扱わないでよー、真実だよー?』

「あんた女子だったら全員にそれ言うでしょう。
1年生の頃のあたしだったらキュンときてたかもね。」

だからその人を女好きみたいな言い方で表すのは
やめて欲しい...。

そんな会話を他のクラスメイトと繰り広げ、
聞き込みも順調だった私は油断していたのだ。

私の正体に気づいている人はいない、と。

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作者名:しののめ | 作成日時:2023年4月9日 14時

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