唇に、さよなら。 (ページ27)

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２７：夢の時間。ページ27

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翌朝、何だか苦しくて目が覚めると
私の体をギュッと抱き締めたまま、スヤスヤと寝息を立ててる紫耀くん。

腕の中から、そ〜っと紫耀くんの寝顔を眺める朝は
なんとも心地よくて、幸せだった。

紫耀くんの素肌は、筋肉質な割に柔らかくて。

ずっと、温かい腕の中に包まれていたおかげで
昨晩は、寂しいなんて1ミリたりとも思わなかった。

｢紫耀くん、起きて。｣

もうちょっと、紫耀くんの寝顔を眺めていたいところだったけど
チェックアウトの時間が迫っているから
仕方なく、紫耀くんの肩を揺らして起こす。

｢んーー、あと5分。｣
｢駄目だよ、チェックアウトまであと40分しかないんだから。｣

急いでシャワーを浴びて、出る準備をしなきゃ。

40分あれば、ギリギリ外に出る用意は終えれるかな。
まだ瞼を閉じたままの紫耀くんを置いて
先に布団の中から出ようとしたら、

｢なんで置いてくの。｣って、
不貞腐れた顔で、再び私を腕の中に閉じこめる。

そして、柔い唇を私の額に押し当てると、

｢延泊しちゃう？俺、まだAちゃんと離れたくない。｣

とか言って、駄々こねてくる。

｢流石に今日は帰らなきゃ。
紫耀くんだって、お仕事あるでしょ？｣
｢んー、明日は夕方からだし、朝に帰れば間に合うよ。｣

私の髪を優しく撫でながら、やたらと甘い声を耳元で囁く。

そんな紫耀くんの行動に、朝からうっとりしてるけど
このままずっと紫耀くんといたら
本当に、帰れなくなっちゃうような気がした。

夢の時間は、もう終わりだよ。って
自分に言い聞かせて、
寝惚けている紫耀くんの腕の中から、何とかすり抜ける事に成功した。