３０：焼きそばパン。 ページ30
.
｢中野さん、永瀬くんにこれ渡しといてくれない？｣
昼休み、購買でパンを選んでたら
何故か私にカフェオレと手紙を差し出して廉に渡して欲しいと頼む隣のクラスの女の子。
｢なんで私が？直接渡した方がいいんじゃないかな。｣
｢･･･永瀬くんに直接声かける勇気がなくて。
中野さんは永瀬くんと幼馴染って聞いたから。
協力してくれるかなって。｣
そんな投げやりな告白の仕方ある？
幼馴染の私に仲介を頼んだって廉はきっとこの子の名前も顔も覚えようとしないよ。
｢ごめんね、私･･･今廉と喧嘩中だから。｣
嘘はついてない。本当はもっと断る理由は色々あるけど。
とりあえず今は廉と穏やかに話せる状態じゃないし
廉への告白を手伝うなんて正直御免だ。
シュンとしちゃった、女の子には申し訳ないけど
私には私の事情がある。
幼馴染だからって何も特別じゃないし
協力出来ることなんてきっとない。
若干の申し訳なさを引きずりながらも
メロンパンとあんぱん、そしていちごオレを手に持ち
レジへ向かう。
そしたら後ろからヒョイっと焼きそばパンを持った手が伸びてきて。
｢ちょっ、｣
なにこの人？と、思いきり眉間に皺を寄せて振り返れば
｢やっほ、Aちゃん。｣
｢せん、ぱい･･･。｣
おめめきゅるるん状態の先輩が私のすぐ後ろに立ってて
思わず声が裏返ってしまった。
｢ごめん、俺 すげー腹減ってるんだけど
教室に財布忘れちゃってさ。
あとで返すから一緒に買ってくんない？｣
計算か、無意識か 上目遣いしながらの頼み事には
もちろん快く了承する。
｢カフェオレもいりますか？｣
｢えっ、いいの？助かる！｣
｢もちろんですよ。ていうか、焼きそばパンだけで足ります？｣
｢うーん、足んないかも。
コロッケパンも追加していい？｣
｢いいですよ。｣
｢ほんと？ありがとう。｣
まるで尻尾が振ってあるように見える先輩の
嬉しそうな表情に 私の心は一気に満たされる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1069人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くちゃん - はじめまして。ひよりさんの作品めちゃくちゃおもしろくてだいすきですт т ❤︎こよりさんのほうのパスワードは教えていない感じですか？(ㅠ︿ㅠ)とても読みたいです、、 (10月12日 1時) (
レス) id: 248356e3db (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - え！好き！好きです！あのなんて言うんでしょう、…可愛い！！作品自体がなんかもう可愛い！夢主ちゃんの性格好きだし、そしてなにより永瀬様と平野様がかっこいい…！（様付けキモくてすみません）応援してます！！ (2022年12月30日 22時) (レス) @page26 id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひより
| 作成日時：2022年6月4日 16時
