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来たことのある場所。
いい記憶には保管されていない場所。
でも、ここなら月も見えやすいか。
チャリを止めて、降ろされた先の階段を並んで登っていく。
もう陽は沈んでその代わりというように赤い光が少し、辺りを染めていた。
「やっぱ早いって」
『ええやんけ別にぃ』
「暇やん」
柵にガシャーともたれて、アカツキが完全に上がるのは何時くらいかと検索する。
20時。
あと約2時間あるんやけど。
しゃーなしに、申し訳程度で入れてるクソゲーのアプリを起動させた。
ようあるやつ。
『放課後、何言われたんか聞いてもええかな』
「へ?」
『あいつに…瑠奈に』
苗字を出さなかったのはあたしへの配慮やろう。
あたしとしては言ってもええけど多分大毅の方が恥ずかしいんちゃうかな…
「幸せになってって」
『…は』
「そしたら重岡先輩も救われるからって」
あの子はもう大毅に瑠奈として見られることはない。
一生、あいつの妹やって言う風に見られて生きる。
あたしが苦しんでるのと同じ人に大毅は苦しめられていることにどうしようもない罪悪感を抱いてしまったんやろう。
「大毅」
『うん』
「今までずっと、近くにおってくれてありがとう」
「生きろって言ってくれてありがとう」
「好き、って。怖かったはずやのに言ってくれてありがとう」
赤はどんどん濃くなっていく。
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ひーな(プロフ) - 最初のアカツキの表現好きです(((o(*゚▽゚*)o))) (2019年6月7日 17時) (レス) id: 773923ce37 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 凜憧さん» 凜憧さん!コメントありがとうございます´`* 共感する部分ありましたか…すごく自己満作品だったのですが、そう言っていただけて安心です。こんな重岡大毅が居てくれればなぁ…笑 (2019年5月30日 15時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 更新お疲れ様でした。共感する部分とこんなふうになったらいいなという希望を含んだ部分がすごく染みました。完結お疲れ様でした! (2019年5月28日 17時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カジャ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734
作成日時:2019年5月1日 18時