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「だから、
何故私を助けたのだと聞いているのだよ。」
少し面倒だと云う気持ちも込めて溜め息をつき
ジトリとした目で彼女を見る。
「だって、そんなの、
当たり前じゃない。
苦しそうに倒れてる人が居るのに
見て見ぬふりなんて私には出来ない。」
彼女はそう言って少し唇に弧を描いた。
あぁ、なんて綺麗なんだろうか。
汚れきった自分とは正反対の人物だ、と
心底思った。
「太宰治…？」
「そう、私の名は太宰治。」
「太宰くんね、宜しく。」
数日前に出会った
あの気の強い女とは思えないほどか弱く、
あまりにも儚い。
「それで本当に18歳…？身長高すぎじゃない？」
「あまり女性と男性の差を甘く見ない方がいい。
君なんて脇息に出来るよ。」
彼女は、そうニヤリと笑みを浮かべながら、
肘を自らの頭に乗せる太宰を睨む。
だが太宰は18歳、彼女は20歳だ。
自分ももう少し背が伸びても良いのでは？
と、彼女は自分が惨めに感じてくる。
「……名前。」
「え？」
「君は私に名乗らせて置いて
自分は名乗らないつもりかい？」
「ぇあ、ごめんなさい。
私はA、伊藤A。」
申し訳なさそうに眉を下げて笑った彼女に
少し拗ねてしまった太宰は、
壁に背を預けて座り少しうつ向いてしまった。
怒らせたか、と心配になり
彼女は隣に腰を降ろしてチラリと目を見やる。
「怒らせた？」
「違う。」
「じゃあどうしたの。」
「君は、
私を憎んでいないのか。」
今度は太宰が怯えた兎のようにAに問う。
「どうして？」
「私は、君の救おうとした男を殺した。
君は何故そんな私を助けた？」
そう不安がって言うと、少し考え込むA。
そして、フッと優しく笑って
「『人の傷を笑うのは、
傷の痛みを感じたことのないやつだ。』
シェイクスピアの言葉。
前にあった時私は貴方に子供だって言った。
その言葉の意味を理解できてるなら
私が貴方を助けた理由もわかるはずよ。」
「私が、その傷を笑う者では無くなった
と言いたいのかい？」
彼女は小さく微笑むだけで返事はくれなかった。
「いつか、わかったら、私の所においで。
それまで貴方の傷の世話してあげましょう。」
そう今度はニッコリ笑って続けた。
「今度は私が質問していいかな？」
彼女はよく笑う人だ。
太陽のような幸せを振り撒く笑顔で。
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空き地@ktnk - 初コメ失礼します。とても面白いです！更新されることを待っています！頑張ってください！ (2020年9月24日 7時) (
レス) id: da313b2c7d (このIDを非表示/違反報告)
リンレイ - 凄く面白いですね！更新楽しみにしてます！ (2019年10月21日 7時) (レス) id: 551bea7f08 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - めっちゃ面白かったです。更新復帰楽しみにしてます。 (2018年1月28日 16時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2017年8月13日 3時
