95(大介Side) ページ45
呆れたように綺麗な形の瞳を細め、興味なさげに口のへの字に曲げる。
涼太「……そろそろ帰りましょう。今寝たら最高にいい夢見られそうですから。」
大介「そうだね。すみませんお勘定お願いします。」
店の外へ出ると、町はまだ店の点灯で明るく人通りも多かった。
時計を見れば、まだ22時を少し過ぎたくらいだ。
ずっと温かい店内に居たため、外の冷たさは凶器のように感じられた。
アルコールの火照りなど、何の盾にもならない。
大介「うう〜さむぅ……涼太は寒くない？」
涼太「寧ろさっぱりして気持ちがいいくらいですよ？」
大介「嘘つき。唇が紫になってるじゃん。」
彼の唇を指摘してやると、涼太はおどけたような表情をした。
彼も本気で誤魔化そうととはしていない。
会話に乗れば俺が喜ぶと分かっているから、わざと分かりやすい嘘を付いたのだ。
涼太は俺よりも暑さにも寒さにも弱く、俺が寒いと体を震わせるのなら、彼にはなおさら寒く辛く感じていることだろう。
彼の唇に俺はポケットに忍び込ませていたカイロを押し付けた。
出かける前に振ったばかりなので、まだ効力はあるはずだ。
涼太は目を見開いて動きを止めた後、のろりとそれを己の手で口元に抑えた。
涼太「ありがとうございます。」
彼らしくもない、素直な感謝の言葉だ。
俺はそれだけでいっぱいいっぱいになって、-1℃の極寒すら常夏の島の楽園のように感じた。
大介「良いんだよ、お前が温かくなるんなら。」
俺は何だか恥ずかしくなって、ジャンバーのポケットに両手を突っ込み、落ち着きなく顔をキョロキョロさせた。
それをジッと見つめる視線を暫く感じたが、俺は敢えて気にしないように努めた。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
